帰り道

「おい、天音、向かいにきたぞー」


「今日、部活じゃないの?」


「朝から体調悪そうなお前をほっといてられるか」


「・・・。別に平気なのに」


それに、きたせいで周りの視線がやばい。

陰口でも言っているのだろう、甘苦しい匂いが教室にかおる。


「ひゅー、ひゅー。夫さんがお迎えに来はったんか?」


「山口は散れ」


「昂は帰れ」


山口は霊能者で、あっちのグループに所属している一家の息子。父親はあの神社の神主だ。

巫女と同じように神に強く干渉できる。それを使い、ここ一帯を守っている。

ただ、まあ、霊能者らしく火や、煙など火に関することを操ることができる。


まあ、一様敵同士だけど、そこまで仲が悪いわけではない。

相手がどう思っているかは知らないけど。


「わあ、天音ちゃん、ひどい。俺は大好きな天音ちゃんの心配にしただけやのにー」


「はあ。急に揶揄い出す方がひどいですー。山口に構ってられるほど暇じゃないんですー。で、なんで私は抱きしめられてるわけ?」


「しんどそうで無防備な状態を昴に見せたくない」


ツッコミたい所はいっぱいあるけど、無視しとく


「はー。帰るんでしょ? 意味分からないこと言わないで、帰るよ」


「ああ。じゃあな、昂」


「ドヤ顔うざい」


少し歩くと、教室からドロっとした重い雰囲気。

少し進むスピードを遅めて、ポッケから札を出して投げる。


「どうした? 歩くの遅いが、やっぱ体調悪いのか?」


「違うって言っているでしょ」


そのあと普通に家に帰った。

だけど、たまに『大丈夫か? 生きてるか?』とラインがきた。

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