仕事の準備

やっと授業が全て終わり、放課後になった。

なとか寝なずにすんだ。

身分は高校生、ちゃんと授業を聞かないとテストがまずい。


「ただいま、ヤーくん」


扉あたりにいる、ヤモリに挨拶をして、家へ帰る。

そして、仕事部屋から昨日封印した者が入っている、ツボを出す。

ガスコンロをつけ、お鍋を置いて、作っておいた塩水を入れる。


「青龍・白虎・朱雀・玄武・勾陳・帝台・文王・三台・玉女」


唱えながら、びんを開けて、お鍋に突っ込む。


へらで煮詰める。


こんなもんだろう、布で越して半分をさらに、もう半分を木箱に入れる。


「小夜吉、ご飯だよ。それ、食べておやすみ」


木箱を閉めて、しまう。


小夜吉は、私が幼稚園の頃、事故から私を守るのと引き換えに死んでいった犬だ。

だが、事故から目が覚めると私の守護霊となっていた。

ちなみに、守護霊は人間のプラスの言葉を栄養としてたり、悪霊とかを食べることで栄養をとっている。まあ、霊によって変わるから一概には言えないけど。


普通の悪霊とかは固く食べづらそうにしてたので、さっきのように煮ている。


仕事部屋を出て自室に戻る。

宿題をしないと。

カバンから宿題を出して、筆記用具を動かす。


コテン


何かが落ちた。

後ろを向くと。


「河童ですか。結果は?」


そう尋ねれば、姿を消し、河童がいた場所には小さなぬいぐるみが落ちてた。


「これが、3番の原因ね」


宿題を閉じて、ぬいぐるみを持って、仕事部屋に行く。

そこそこ強い者だ。だけど、これぐらいなら呪い屋に頼らなくても、出来る範囲だ。

呪い屋。まあ、払い屋と似ている。単純に、呪いを専門にしているか、払うことを専門にしているかだ。まあ、餅は餅やということもあり、難しいのは専門に任せるがそれ以外だと案外、それぞれで行なっている。


塩をまいって、熱湯をかける。


中にはいないか。

ありがたい、さっさと因果を切ってしまおう。


「青龍・白虎・朱雀・玄武・勾陳・帝台・文王・三台・玉女。

天の神を導けたまおう。早々とお眠りくださいませ。眠りの果ての、道を示さんと

〜〜〜〜〜。

お帰りくださいこと」


鎌でぬいぐるみの首を刎ねる。

そして、木箱に入れる。


「ふー」


緊張を解く。

あとは、怨霊がどうなったか。


「まあ、死神を使わせたし、大丈夫だと思うけど」


河童といい、死神といい。

会った時とは大違いだ。


私達のグループはとにかく払う、これが基本だ。

だけど、私たちは改心する気があるなら、私は払っていない。

少しでも、何かあれば払うけど。


だって、幽霊だって悪霊だって、なりたくてなったわけじゃないんだから。

そうして、こうやって部下のように扱っている。まあいわゆる、悪業罰示式神だ。


もうすぐ、スーパーの値引きだ。

今日も親は帰ってこないんだから、何も食べなくてもいいや。食欲もないし。

でも、朝には帰ってくるだろうから、朝飯のカップラーメンを買わないと。


「小夜吉、散歩」


(ワン!)

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