第4話 黄色のチューリップ

「ねぇ、あなた、このチューリップを見てちょうだい!」


「これは、、。

溌剌として、太陽の子どもみたいだね。

これなら、のぞみもね。」


黄色のチューリップ姫は、おてんばでした。

黄色のノースリーブのシャツとホットパンツをはいていました。

頭にも黄色のキャップ。

髪の毛は短くて天然パーマでくるりんこ。



「私、お日様だーい好き!

元気ーーーっ!ばんざーいって感じだもん。」

黄色のチューリップ姫は笑顔が自慢でした。


黄色のチューリップ姫は、のぞみちゃんへのプレゼントだと思いました。

「どんな子だろ?

元気いっぱいの子だといいな。

一緒にお日様あびたーーい。

楽しみだわ。」


チューリップ姫を待っていたのぞみちゃんは

ベットで眠っているようでした。


「のぞみ?

のぞみが見たがってた向日葵だよ。

わかるかい?」


「パパとママがね、可愛いお花屋さんで見つけたのよ。

ほら、触ってみようね。」


黄色のチューリップ姫は驚きました。

だって、向日葵ではありませんでしたから。

「えーっ?

向日葵?私、向日葵じゃない!!

なんなのこの人達、、。」


チューリップ姫はぷんぷんでした。

よりによってお日様の子供って言われてる向日葵なんかに間違われるなんて、バカにしてると

思いました。


そのうち、チューリップ姫はのぞみちゃんの事やパパやママのことがわかってきました。

のぞみちゃんは、病気で入院していること。

そして、もう、目もはっきり見えなくなって

からだも動かせないこと。

向日葵が大好きな元気な女の子だったこと。


のぞみちゃんは夜中にひとりになると

か細い声で独り言を言いました。

「向日葵さん、ありがとう。

私ね、もう目が見えないの。

パパとママと一緒に行った向日葵の花畑。

向日葵さんが来てくれてから、夢を見るのよ。」


チューリップ姫は、悲しくなりました。

のぞみちゃんは、私の事を向日葵だと信じている。

私がチューリップだと知ったら、、。

そうよ、私、向日葵になろう!!

それからは、向日葵色になるように一生懸命になりました。


のぞみちゃんに最期の時がやって来ました。


「パパ、ママありがと、、。

それと、黄色のチューリップさんも

ありがとう、、。」


黄色のチューリップ姫はのぞみちゃんは全部わかっていたんだ知りました。


パパとママは黄色のチューリップ姫を家の庭に植えかけました。

大切に大切にしてくれました。


チューリップ姫は、自分が枯れても

球根を残そうと思うようになりました。


「のぞみちゃん、毎年、花を咲かせるわ。

だから、観にきてね。」

黄色のチューリップ姫は空を見上げました。




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