第3話 ピンクのチューリップ

ピンクのチューリップ姫は、あざといくらいの可愛さをいつも考えていました。


ピンクのワンピースは、袖はぽわんと膨らませて、ウエストはキュとしてるけれど、

スカートはバレエのパニエを何枚も重ねたように大きく膨らんでいました。

ピンクのリボンがいくつも縫い付けられてもいました。

膝上のワンピースからは、少女のような細い足。

ぴょこぴょこって歩くとワンピースは

ぼわん、ぼわんと大きく揺れました。


ある日、お店に男性と女性がふたりでやってきました。


「こんな所に可愛いお店があるなんてしらなかったぁ〜。

あ〜、チューリップ。かわいい〜。」

そう言ってた女性は、ピンクのワンピースを着てました。

甘ったるい声で男性を見つめて、腕にしがみついて上目使いで話すのです。


「君が気に入ったんなら、プレゼントするよ。」



こうして、ピンクのチューリップ姫は

ピンクのワンピースの女性の部屋に置かれるようになりました。

女性は、仕事から帰ってくると、あの男性の話しを聞かせてくれました。


彼はね、営業部のエリートなのよ。

有名大学を卒業してるの。

身長も高いし、イケメンだもん。

女子社員はみーんな彼を狙ってる。

その彼が私にピッタリのピンクのチューリップを買ってくれたのよ。

あの日、仕事でお得意様の会社に行くって

わかってたから、私、体調悪いって嘘ついて早退したの。

そして、彼の帰り道を待ち伏せしたの。

病院の帰りってね嘘をついたの。

偶然会った振りをしたの、うふふ。


ピンクのチューリップ姫は、

「あざとい女って大好き。

私達、気が合うわね。」そう思いました。



しばらくして、女性の様子がおかしくなったのでした。

チューリップ姫には見向きもしなくなりました。

「悔しい!!

なんで、あんな女なのよ。

地味で無口で!服なんかいつもスーツじゃない!仕事しか出来ないブス!!

彼があーんな女を選ぶなんて信じらんない!

結婚するのよ、しかも、彼言ったわ。

みんなの前で、、、。

彼女は外回りの僕の様子を見て、お茶かコーヒーかハーブティーか。冷たいのがいいのか?

温かいのがいいのか?

それがピッタリ来たんです。

仕事も丁寧で助けられました。ご飯もうまいんですよだって。

ばっかみたい。

私はいや、私はちやほやして大切にして欲しいんだもん。」


そう言って、女性はピンクのチューリップ姫の

鉢を窓から投げ捨てました。

チューリップ姫は地面に当たって、かわいいワンピースは泥まみれ。

大切な足は折れてしまいました。


「あざとい女なんて大嫌い、、。」

チューリップ姫は思いました。





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