第5話

 しょうがないので、イタリアン・キッドの店を探した。本場イタリアなら必ずあるはずだ。しばらく探していて、これはイタリアン・キッドしか行くとこがないことに薄々感ずいてきた。


 もう、どうでも良かった。


 異世界は命の危険すらあるけど、それなら行動してもしなくても同じだろう。


 自分から進んで魔王城へ行くことはないけれど、ましてや、勇者になるのでもないのだ。


 だから、預けた手袋を持って無事に日本へ戻って隣町へ行けばよい。


 ただそれだけなのだろう。


 私はそう思った。

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