第6話

 だけど、ヴェネツィアはやっぱりロマンチックだった。


 どうしても、観光気分になってしまう。


 ゴンドラのトレードマークの船頭ゴンドリエーレが、陽気に歌うカンツォーネを聞いていると、いつまでもこの異世界にいたいと思ってしまう。


 イタリアン・キッドが見えてきた。


 美しい街並みのちょうど街角にあった。


 行き交うイタリア人たちも、幾人かは店内へと入り気に入った洋服を探している。


 私もなんだか気分が良くなり、レジで頼んでおいた手袋を受け取ろうとした。


「いらっしゃい。わざわざイタリアの本店まで大変だったでしょう? はい。こちらがあなたの手袋だよ」


「わーい、ありがとう」

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