第3話

 家からイタリアン・キッドがある街角は、普通に歩いて行くのなら、だいたい20分ほどでたどり着く。


 玄関口から外へ出ると、すぐに道路を歩いている外国人とぶつかった。幸い痛みはない。


 私は、おでこを相手の肩にコツンと打っただけだったが……。


「あ、すみません!」

「うん? これでいいんだよ」

「?」


 相手のふてぶてしい態度に、カチンときてしまった。今までのはしゃいでいた気分が台無しだった。


 イタリアン・キッドの方向とは逆の道へと歩く外国人は、どうやらイタリア人の背の高い男のようだった。


 べー、っと舌を相手の背中に向かってだしていると、男の姿は交差点の人ごみの中へと消えていった。


 そこで気分を変えるために街並みを見回して、私はあれ? と思った。

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