第9話 復讐を復習した

 ........,,,,,,.,,.昨日を思い出すだけで、3回程ファンタジアルでキルできそうだ。


「聞いてくれ、一也」

「どうしたどうした」

「ゲーム仲間がドタキャンしたんだよ」

「そっか」


 ダメだ、一也はゲームを全く知らないし、ゲームでドタキャンされる苦しみを理解できていない。


「なら凛もドタキャンすれば?」

「おおいい提案だな。ナイス一也」




 .......................膝痛い。


 時を遡れば一也の名案を馬鹿みたいに鵜呑みにして早速試したが、今は風紀委員室で正座させられている。


「あなたって人は..............冷たいわね」


 椅子に座って僕を上から見ている篠原さんは、当然の様に怒っていた。当然怒るのは分かっていた。篠原さんよりタチが悪い事をしたから、




 昨日、


<鉄人:今暇?一緒にオーガ討伐しない?オーガのツノ欲しいから」

<侍2世:別に良いよ、ちょっと待ってね」


 鉄人がログアウトしました。




 分かってくれただろうか。僕は篠原さんが来てからログアウトした。オーガのツノは欲しかったが、復讐が勝ってしまった。



「凛君、私辛かった」


「ゲーム仲間に突然切られて」


「全然チャットしても無視するし」


「起きてたんでしょ」


「ねぇ」


 間で話す事ができない。無慈悲に怒られてHPが安全限界を向かえてしまう。


「あのですね.......前、篠原さんが」

「私が前、凛君を誘って寝てしまった事を言いたいのよね。それは後日謝ったし、もしかしてまだ怒っているの?」


 怒っている人に「怒ってるの?」と、言われて「はい、怒っています」は、当然言えない。言ったら絶対怒るし、


「いえ、少しイタズラを」

「優れたイタズラね。昨日の私の気持ちを踏み躙ってくれてありがとね」


 怒った顔で「ありがとう」きつい、罪悪感で少し後悔してしまった。しかし、ここは引けない。引いたらなんか......今後ずっと負けてしまう。


「待って篠原さん」


「何!!!」


(言ってやる、俺は間違ってないと)




「俺が」

「俺が?」

「間違ってしました」


 勝てないよ。怖いもん、それに太もも痺れてきて今多分動いたらあの....痛みを感じてしまう。


「あら、痛そうね凛君」


 悪魔だ、目の前にドS悪魔が居る。ゆっくりこっちに来て太ももを触ろうとしてくるし、動けない、逃げれない、ここは、


「すいませんでした。許して下さい」


「何でも一つ言う事聞くって言いなさい」

「言う事聞きます」

「何でも!!」

「何でも言う事一つ聞きます」


 篠原さんは後ろに下がって椅子に座り、僕の足が回復するまで待ってくれた。何故か少し笑っていたのは忘れておこう。


「それじゃあ足も治ったし、言う事聞いてね」

「はい」

「明日............家に来て」

「おう」


 そんな事でいいのか?家に行くだけで許してくれるなら喜んで行く。どうせファンタジアルを一緒にプレイするだけだろうし、


「なら良いのよ、もし昨日と同じ事したら」

「.........」

「絶対に.....................だよ」


 聞こえなかった。いや違うな、聞いて怖すぎて本能で記憶を消した。それくらい鳥肌がたった。


 それじゃあ、ここは解散して午後の授業を頑張りますか。


 


 放課後、


「あのですね..........僕って風紀委員でしたっけ?」

「違うわよ」

「なら」


 なら何で雑用一緒にしてるんですか?教室を出てすぐ捕まって周囲の目線を気にしながら今は、風紀委員室の片付けをしていた。


「それ前使った本だから上の棚に置いて」

「了解」

「それは捨てていいよ」

「了解」

「それは後ろに置いて」

「了解」


 おい、さっきから僕しか動いてない。何故か篠原さんは僕を見ながら座っていた。これがパシリといやつだな。


(なんかこれはこれで良い)


 1時間程片付けして、部屋を出た。生徒は部活や帰宅で少なくなっており、篠原さんと一緒に歩いていても案外大丈夫だった。


「今日はやるの?」

「予定はない」

「私はボックス整理したいから」

「宜しく」


 .........ドス、


 前に腹を殴られてのはいつだろうか。

 思い出せないくらいに衝撃的だった。女子と言っても振りかぶった拳はクリンヒットした。


「あ......ななあ......何で」

「凛君が悪い」


 篠原さんはそう言って学校を出た。僕も少し距離をとって歩いていると、手で来いと言われたので、怒られないように走った。



「今日はよく怒られるな」

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