第8話 お買い物
近くのゲーム店は小規模ではあるが、意外と掘り出し物があるので週一で通っている。最近客足が少なくなっていたが、篠原さん効果で男性が普段の三倍居る。
しかし、女子と店内を回るのは初めてだ。なんか変な汗が流れた。篠原さんと僕は制服姿なので側からみたらカップルに見えるかもしてないので、
(............男性の視線が痛い)
篠原さんは目を輝かしてゲーム機を見ており、気づいていないが、男性達が何故か少しずつ近いている。えぇ......メッチャ怖い。目線は外しているが、方向は定まっている。
「これ良くない?」
「あぁ....うん、良いと思うよ」
「本当に?」
篠原さんが僕に声をかけた事で男性達は理解して去って行ったが、やっぱり怖いな。知らない人が少しずつ近いて来るのは、篠原さんは変わらなかったが、内心は違うのだろう。
「あの......それで本題なんですが、何でここに来たんですか?」
「勿論ゲームが見たいから」
(なるほど、ゲーム店だもんね。嫌々そんな簡単な解釈では終われない)
「篠原さんは何か欲しい物があるの?」
「良いの?」
「聞いただけですけど」
「これ欲しい買って」
「聞いただけですけど」
「行くよレジ」
「..................無慈悲だ」
篠原さんが持っていたのは、ファンタジアルのマスコットキャラ「ファンたん」という小型のドラゴン風のぬいぐるみであり、可愛い見た目であり女性人気が凄い。
「お会計、2100円です」
手をどうぞってしているが、買うとは言っていない。僕がそのまま財布を下ろしても別に悪くない。だが、篠原さんの顔が異常に怖かった。
「こちらレシートですね」
「はい」
ビビった結果財布にレシートを入れて店を出た。横ではぬいぐるみが入った袋を大切に握っている篠原さんが居た。喜んでくれるならまぁいっか。
「それじゃあ」
「待ちなさい」
「え?」
篠原さんは何故か目の前にあるたい焼きの看板を指差して歩いて行った。多分着いていかないとやばいのであろう。
(もしかして)
たい焼き屋に着くと意外と空いていたので、すぐ注文できた。
「クリーム2個とあんこ4個、それとジャーマンポテト6個お願いします」
「分かりましたお会計、2200円です」
僕は店員の言葉を聞いてさっそく財布を出そうとしたが、篠原さんが持っていた袋を手渡して来て、
「これでお願いします」
「では800円のお返しです」
何故か優しいと感じてしまった。別に僕がたい焼きを食べる事が決まってはいないけど何故か嬉しかった。
「はい、クリーム」
袋を持っている僕にたい焼きを出してくれる篠原さん、右手で取ろうとしたら足を蹴られた。仕方なくそのまま食べさせてもらったら蹴りはなかった。
「宜しい、それじゃあお疲れ」
「ああ」
篠原さんは二つ袋を持って去った。俺は熱々のクリームたい焼きを近くにあったベンチに座って完食し、家に戻った。
<侍2世:6時集合>
チャットには篠原さんからの集合命令、以前なら偶に無視していたが、侍2世が篠原さんだと分かってしまったので、迂闊に無視はできない。
現在午後6時
現在午後6時半
現在午後8時
「全然...........来る気配がない」
待っている間に風呂と食事を済ませたが、集合を命令した篠原さんが全然来ないので、一人で狩りをする事にした。
おぉぉ、ミスリルソードしっかりあるな。
以前ロス気味になった僕の相棒は綺麗に輝いていた。ダイヤゴンを素材に使用したので、少し青く輝いており、めっちゃ綺麗。
「今日は軽くモンスターでも狩るか」
宿を出てモンスターが湧くエリアに入り、少し待っているとメタルゴブリンが数体湧いて、ラッキーと思い、クリスタルソードでチョンパした。
現在午後10時前、
もう来る気配がない。なら僕はファンタジアルをログアウトしてゆっくり眠りについた。
篠原奏視点
「うみゃうみゃ...........凛君」
体に収まるくらいのファンたんのぬいぐるみをロックして静かに眠っていた。凛との約束は5時まで覚えていたが、大切な人から貰った大切なぬいぐるみを抱えてベットで仮眠をとっていると、ガチ寝になった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます