第6話 接待サッカー
何故侍2世が平日の昼間などにおいて、チャットを送ってくるか今謎が解けた。さっき会った時に鞄の中身が少し見えてその中に小型ゴーグルがあった。さてはアイツもしかしてゲーム中毒だな、
「スローライフがスローガンな僕からしたら侍2世とは道が違うな」
先生が朝のホームルームで色々喋っているが、全然耳を通り抜ける。昼休みは集合命令をくらったし、ゲーム仲間と現実出会うと少しは興奮したけど、異性とは話しずらいな。
「では今日も頑張ろう」
「「「「「はーーい」」」」」
ホームルームを終えて女子は去って行き、男子は教室内で着替えていた。朝か昼以降か体育をするのにベストは時間は........しない事だよな。でも怒られたくないから時間通りに着替えるけど、
「早く行こうぜ凛」
「あいあい」
女子なら興奮するかもしれないけど、この熱苦しい奴をどっかに飛ばしてほしい。イケメンさんは女子にチヤホヤされる体育が絶好の場所であろう。しかし、このLEDは無自覚な部分が余計腹立たしい。
「多分これはサッカーだな」
「そうだな、クラスメイトが外に行っているから行くか」
サッカー、初心者でも最低限楽しめるスポーツだが、僕からしたら暑い日差しが無慈悲に攻撃してきてゲーム内ならログアウトしているだろう。しかし、この世界にそんな機能は存在しない。
「同じチームなら頑張ろうな」
「分かった」
同じチームなら?此奴は違うチームならボコすという意味だろうか?やはり天然スポーツ少年は勝負に純粋だな。一也は幼少期からバスケをしており、勝負事に関しては無慈悲である。そして余計タチが悪いのは、女子もサッカーを男女別でするので万が一、一也に不利な行動をした時点でゲームオーバーだったりする。
「人生イージーゲームだな一也よ」
「おう、ありがとう」
嫌味を天然嫌味で返されたら余計心にダメージがくる。実際一也さんはサッカーボールの向かって走っている。まだ始まっていないが、完全に少年に戻っている。
「はぁ.....端っこで頑張ろ」
コートの端っこで偶にボールが来る位置で立っていると、校舎の窓からの日差しがキツイから少し窓に睨みを効かせると、
「あ、LEDさん」
窓際の席でこちらを覗いているLEDさんが見えた。詳細には見えないが、面影くらいは認識できた。しかし、一也さんは無差別に惚れられる体質なのだろうか、
「頑張って」
「カッコいいよ一也君」
「男子も一也君の為に頑張れ」
当然他の男子達はやる気に満ち溢れている。討伐目標が決まっていればチームワークを発揮するのが、我が2年1組の良い所だったりする。女子に惚れてほしい、でも一也を敵対しすれば水の泡、やるべき行動といえば一也がいない場所での活躍、
「健気だな、女子は一也しか見えていないのに」
実際僕が女子なら一也は選ばない。イケメンで性格も良いが、高嶺の花は僕には程遠い。それは女子達も理解しているので、当面の作戦はLEDさんと一也をベストカップルに持って行くキューピットになる事だ。
「頑張ります。LEDさん」
LEDさんの居る窓に少し礼してサッカーに戻った。しかし、ボールは全然来ないので、実質サボリと何も変わらない。時間が経過するのを待っている事だけが、今僕がするべき事、
終わった。一也さんと同じチームというだけで、簡単に勝ってしまう。何の見せ場もないまま男子達は教室に去って行った。後ろ姿は哀愁が漂っていたが、仕方のない事だよ。僕達では一也に遠く及ばない。
「凛、勝ったな」
「ああ、お前のお陰でな」
一つ付け加えるならお前と女子のお陰でな。終盤は敵チームが女子の罵声をくらってカカシ状態になって一也は軽くゴールできていた。
「戻るか?」
「そうだな」
暑いグラウンドからさらばして、校舎に戻ったが、一也は女子達に捕まっていたので、仕方なく置いてきた。最近はジェスチャーで女子から去ってくれと送られて来るので当然従い、一人で教室に戻り着替えた。
「りーーーーーん、なんで置いて行くんだ」
「待つの面倒じゃん」
「それもそうだな」
聞き分けのいい一也を見ながら次の授業の準備を始めていると、携帯が振動した。これは当然分かっていたが、
<侍2世:分かっているよね。来ないと〇〇〇〇だからね>
無事禁止用語は規制されていたので分からなかったが、行く以外の選択肢を無くして仕方なく心の中で承諾した。そしていつも通り授業を受けて昼休みになった。
「凛?一緒に食べよ」
「すまん、用事がある」
「そっかならまた今度な」
その今度は多分来ないぞ友よ、現在進行形で僕の席を狙うハイエナが見た感じ数人いる。そして僕が離れたら、
「「「「一也君一緒に食べない」」」」
当然群がってくる。こんな事になるなら席を離してくれよ先生、別に席は後ろ側で良いけど、一也さんとは別居したいです。
「ふぅ......行くか」
今朝覚えておいた風紀委員室に向けて歩いていると、前方で少し騒ぎになっていた。この感じはLEDがあるサインだ。いつも見ているので気づける。
「あの......篠原奏さん、付き合って下さい」
「ごめんなさい。私には許嫁がいるの」
「そんな」
「じゃあ」
「「「「「「おおおおお」」」」」」
LEDさんって篠原奏さんっていうんだな。取り敢えず覚えておこ、それより遠回りして行くか。こんな賑わっている場所は僕には息苦しいので近くの階段を降りて静かに向かった。
「(あ、凛君。....................何で?)」
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