世界で一番不可解なカクテル
saito sekai
1話完結
亀は必死に歩いていた。ウサギとのレース、敵はなんと途中でテレビのメロドラマにはまって、すっかり主人公に感情移入中。
「この間にできるだけ、引き離さなきゃ」亀は力の限り四肢を動かす。そして、後少しでゴールのテープを切れるところで、怒涛のごとく追い上げてきたウサギに、亀は負けてしまった。
敗者はその夜、バーで酒を飲んでいた。
「何で、こうなるんだ…後少しだったのに…」
テープを切る直前亀をチラリと見て勝ち誇ったような顔を見せたウサギ…飲んでも飲んでもその顔が浮かんで来るのだった。
「おい、もう一杯」
するとパーテンダーはなにやら真っ赤なカクテルを差し出した。
「なんだこの色…血みたいだな」そう言って亀はそのカクテルを飲み干した。
「これって何で出来ている酒か?」その亀の問いにバーテンは答える。
「それは、今日の勝者の血のカクテルだ。あいつがテレビに夢中の時に、こっそり血を抜いてやったのさ…どうだい?少しはスッキリしたかな?」 完
世界で一番不可解なカクテル saito sekai @saitosekai
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