だから結論は何なの!?
お兄ちゃんから昔の話を聞いて、私はしっかりお兄ちゃんの話を聞こうと思った。
「なんつーかさ……女って、結構いろんなことしっかり考えないとダメなんだなあって思ったんだ。あの本じゃないけどさ、月の半分は体調が悪いとか若いときは生理が2週間も続くとか、そんな体調でよく普通の顔して生きてるよなって思ったら、俺なんか全然まだまだだなあって思った」
でも、それはお互い様だと思うよ。男も男で頑張ってると思うし、うん。
「女装するってなって、最初は服着るだけだと思ったんだけどさ。スキンケアだの脱毛だのメイクだの……正直面倒くさいって思った。でもみんな楽しそうだしさ、それにしっかり手入れして、いろいろ考えてコーディネートするのは楽しかったし、自分自身が一番楽しかった。今回のことは本当に勉強になった」
やっぱり楽しかったんだ。本気にやろうと思えば、なんだって楽しいもんね。
「それで、全力で可愛くなった経験から言わせてもらう。まあ俺が言うのもなんだが……
だから、女装とそれと一体何の関係があるのよ!?
「それなのになんか残念なんだよな。すぐ影に隠れるっていうか、私なんかってなるっていうか。もっと堂々とすりゃ絶対モテるのにって思ってたんだ。俺にコクってきた奴らみたいに、気になる奴と気軽に付き合えばいいじゃんって思ってたんだよ、この前までな」
痛いところを突かれて、私は下を向いてしまった。
「でも、お前言ってたじゃないか。『女はリスクをとらない』って。言われてみるとそうかもなあって思ったんだ。俺を一方的にフった奴らは、俺の可愛い自慢の妹と比べられるのが嫌だったんだろうな。比べられたら負けるに決まっているって思ったんだろうな。それなら勝負なんかしないほうがいい」
お兄ちゃんはそう言うと、少し寂しそうになった。
「なんかさあー、俺にコクってきた奴らって、結局俺のことが好きなんじゃなくて、俺のことを服かなんかみたいに思ってたのかなあーって思って、すごーく凹んだんだよ。俺もなんでそんな奴らに時間使っちまったのかなあーって、自己嫌悪だよな、もう」
すごいな、多分相手の女の子そこまで深く考えてないと思う。やっぱりこいつは面倒くさい。すぐに別れて正解だったと思うよ、その子たち。
「じゃあ俺はお前のことを服だって思ってるかって言うと、そんなこと考えたこともなくてさ。お前はお前、
長々と面倒くさいお兄ちゃんの自分語りを聞いてしまったけど、結局何が言いたいのかよくわからない。
「だからさ、何が言いたいのよ?」
人には結論から話せってよく言うくせに……いや、結論は最初に言ってたな。
「もっと自信持てよ。お前は可愛いんだから、もっと胸張って生きろ」
なんだか、ドキンとした。
パンケーキとか、ロリータとかどうでもよくなった。
お兄ちゃんは、私のことちゃんと見ててくれるんだ。
前から、今も、そしてこれからもずっと。
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