やっぱりこいつ、面倒くさい!
パンケーキ屋でお兄ちゃんから愛の告白みたいなことを言われて、私は固まってしまった。
「あ、えーと、そうじゃなくて……そうそう、女は体験談で話すんだよな? ︎︎あの先輩キャラに喋らせる奴みたいにさ」
真面目な顔をしたかと思ったけど、急に慌て始めた。自分でも変なこと言った自覚はあるんだ。
「どこから話せばいいんだ……? そうか、中学の頃の話だったな」
そう言えばさっき、どうして中学の時一緒に帰っていたのかって話をしていたんだった。
「あれなー……お前には言わないつもりだったんだけど、お前に告白させろって奴が何人か俺のところに来てさ……」
意外な展開に、私は息を飲んだ。
「俺としては、うるせー俺の妹に手ぇ出すんじゃねえって思って全部断ってた」
私の知らないところで、そんなことがあったんだ……。
「それで、誰かがお前の噂してるの聞いたら心配で仕方なくて、つい教室まで迎えに行っちまってた。どっかで『
……うそだあ!
めぐちゃんもだけど、何でそんなにみんな私を変にかばうの!?
「でも一緒に帰るようになって『あれ、俺何やってるんだ?』って思ったんだ。一緒に帰るなら彼女とかじゃないか? って思ってさ」
そうだよ、学校から一緒に帰るのは彼女とか友達じゃん。妹と帰ってる場合じゃないじゃん。
「そうは言っても、やっぱり俺は心配で。ほら……嫌なことだってあっただろ」
嫌なこと。あんまり思い出したくないけど、妹ってだけで変な手紙入れられたり物壊されたりしたんだった。犯人はどうやら他の人にもそういうことやってたみたいで、別の学校に行ったって話を聞いた。
「なんかさあ、俺のせいでお前に怖い思いをさせたのが自分でも許せなくてさ」
お兄ちゃん、気にしてくれていたんだ。でも、お兄ちゃんは全く悪くないから私は全然気にしてないんだけどな。
「そしてこれは本当に言わないでおこうと思ったんだけど……俺と付き合った奴のうち、2人がすぐ別れようって言ってきたんだ。理由は『妹さんに勝てない』だってさ」
なにそれ、私のせいなの!?
「なんだよ、そういうことに勝ち負けって関係あるのかよって思ったけど、俺は女の心とかよくわからないし、考えるのも面倒だしであんまり考えないようにしてた。俺と一緒にいると
そんなの、そんなの私と関係ないじゃん!
「でも、今回俺も女になろうと思って、それでいろいろ勉強したり実際に女の格好をしてわかったことも結構あってさ」
お兄ちゃんはまっすぐ私を見ている。なんて言うか……向き合わなきゃいけないんだよなあ、お兄ちゃんにも、私自身にも。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます