甘ロリゴスロリ姫ロリクラロリ
原宿のど真ん中で「あまろり」なる言葉を聞いて、私と兄貴は呆けていた。
「甘ロリ、ですか?」
「はい、学園祭で女装というコンセプトを考えても、この辺りがお似合いかも」
店員のジュンさんがカタログを並べてくれる。
「ど、どピンク……ですか?」
私の隣のど天然もピンクの量に圧倒される。
そこにあったのは、淡いピンクに白いふわふわやレースが巻きついたふわふわのワンピースがふわふわしている写真だった。モデルさんも超かわいくて、見てるこっちが気おくれしてしまう。
「ひとくちにロリータと言ってもいろんな種類があるんですけど、
聡明?
このアホが?
「えー、これ俺が着るのかぁ……」
この期に及んで
「いいじゃん、可愛いじゃん」
「お前他人事だと思って面白がりやがって……」
私は面白さ100パーセントでここに着いてきてるんですけど!?
でも、ひとつ気になることがある。
「あの、これもロリータなんですか?」
私の中でロリータと言えば、何か黒いドレスみたいな服着てる人がランドセル背負ってるみたいなものだったので、こんな姫みたいなのもロリータって言うんだーって印象だった。兄貴が参考文献として持ってきた雑誌はもっと黒とか赤が多かったからなー。
「ええ。私が今着てるのはゴスロリと言って、小悪魔とか吸血鬼をイメージしたものと言えばわかりやすいですかね?」
私は首をブンブン縦に振る。
そう、それ!!
「正式にはゴシック・ロリータといって、退廃的で死をイメージするようなおどろおどろしいものと少女性を組み合わせた衣装のジャンルなの」
「ゴシックと言えば、ケルン大聖堂と何か関係が?」
また天然ボケがよくわかんないこと言い出して……ジュンさん困ってるよ。
「建築様式のゴシックとゴスロリのゴシックは語源は一緒だけど別物なの。さっきも言った吸血鬼とかフランケンシュタインの人造人間とか、ゴシック小説と呼ばれたものの系統なのよ」
「なるほど……」
あれ、この2人だけで話が通じてる?
ジュンさんはカタログを更にめくる。
「他にも、甘ロリからもう少しドレスアップした姫ロリに、歴史的で昔のお嬢様を再現しようとするクラシック・ロリータ、通称クラロリなんてのもあるのよ」
へえ……。
私はジュンさんのめくるカタログを見つめる。
ピンクのふわふわを着てる女の子。
黒と赤でバキっとキメてる女の子。
どーんとドレスみたいな服を着てる女の子。
そして不思議の国のアリスに出てきそうな服を着てる女の子。
そっと隣の兄貴を見る。
私と同じ顔でカタログを見つめてる。
「まあ、堅苦しい話はこのくらいにして早速試着してみましょうか?」
カタログを閉じてジュンさんが笑顔で言う。
あ、兄貴動揺してる。
「え、うん、まぁ……」
私はドギマギしてる兄貴からカタログの表紙に目を移す。ピンクの服にピンクの日傘、白いタイツにミルクティーみたいな髪の毛。今からうちの兄貴がこんなのになってしまうなんて、私には想像できなかった。
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