第26話 最終決戦2



「ダイスケさま、少し雰囲気が変わりましたね(笑)」


アステルさんが僕の隣を歩きながら、話しかけてくる


「そうですか?まあ、お互い、いろいろありましたね」


確かに、僕は変わったのかもしれない、目的の為には


仲間も、アッサリ見捨てられるし、嘘も付けるようになった


「そうですね、僕は随分変わりましたね」


つい、自虐的になってしまうな


アステルさんは微笑みながら


「変わっても、ダイスケさまは素敵ですよ」


それっきり、お互い黙り込んでしまった


「着きました、この謁見の間でロミナ様がお待ちですよ」


僕は頷き謁見の間に入っていく


謁見の間に入ると、正面に王座があり、そこに腰かけた


ロミナさんが微笑みながら、僕を見ていた


「ダイスケさま、よく来てくれました、


すいません、急いだのですけど、随分お待たせして、しまいましたね」


僕をわざと遠回りさせたことを、言ってるのかな?


「そうですね、イーストリバーからは少し大変でしたよ(笑)」


「そうですか、申し訳ありません、どうしても時間が必要だったもので」


僕はロミナさんに微笑みながら」


「いえ、いいんですよ、たぶん予定どうりなんでしょうし」


ロミナさんは頷き


「ええ、もうすぐ、もうすぐですよ、ダイスケさま」


僕もロミナさんに頷く


「ええ、じゃあ始める前に、二人に言っておきたいことが有ります」


二人は、僕の目を見つめてくる


「ロミナさん、アステルさん、愛してます、僕と結婚してください」


「ああ、初めて言ってくださいましたね」


「ええ、そう言ってくれるのを、お待ちしていました」


二人は、涙を流して僕を見つめ続けているが


すいません、ロミナさん、アステルさん、


これで、僕はどうなろうとも、二人は僕と一緒に死ぬことを


確実に選ぶはずだ



これで、すべての準備が終わった


あとはもう、終わらせるだけだ


「さあ、始めましょうか?」


「ええ、ダイスケさまお願いします」


アステルさんが剣を抜き、僕の前に立つ


「ロミナんさんは、こないんですか?」


「ええ、アステルがどうしても、ダイスケさまと


1対1で戦ってみたいと言ってますし」


僕の方はどっちでも良かったんだけどな


「分かりました。アステルさん行きますよ」


僕も腰の剣を抜き、アステルさんの正面に立つ


「行くぞーーー」


気合を入れた僕は、真正面からアステルさんに向かう


間合いに入った、そう感じた僕はアステルさんの頭めがけて剣を振り下ろす


だが、そんなに簡単な、相手じゃない僕の剣を楽に受けてくる


僕の剣を受けた、瞬間アステルさんが動き出す


アステルさんの羽根が僕に向かって左右から襲い掛かる


え?この羽根って攻撃にも使えるんだ


アステルさんと剣を打ち合わせたままの、僕は両手が使えない


しょうがない、後ろに大きく飛び、かわすか


だが、僕の予想よりアステルさんの羽根は早かったみたいだ


「ぐお」


僕の右肩、左脇に衝撃が走る、くそ肋骨がおれたか

激痛に顔をしかめるが、さらに追い打ちが

アステルさんの蹴りが、僕の鳩尾に思いっきり入る


「がはー」


かなり吹っ飛ばされた僕は、激痛と苦しみに、のたうち回る


早く回復させないと、僕は焦りながらも、回復魔法を唱え

肋骨の治療を始める


僕が立ち上がるまで待っていてくれたのか?

アステルさんが構えたまま、僕を見ている


「別に待ってくれなくていいんですよ?」


「はい、すいません、ついダイスケさまの悶えてる姿に見惚れてしまいました」


いや、そんなこと告白されても、ぜんぜん嬉しくないんだけどな(笑)


接近戦は駄目だ、アステルさんは剣、羽根、蹴りでくる、手数で負けてしまう


なら、魔法ならどうだ?


「インフェルノ」僕は極大の火炎をアステルさんの目掛けて打ち出す


だがこの距離だと、僕自身も危ないので 「パーフェクトシールド」


極大魔法と絶対防御の二段構え、これならいけるか?


インフェルノの爆炎が謁見の間を埋め尽くす


僕にも何も見えなくなるが、構わない絶対防御中の僕には


どうせ何もできないだろう


「どうだ?」


インフェルノの爆炎が収まり、謁見の前に静寂が訪れる

やっぱり駄目か、ロミナさんは僕と同じで絶対防御でも使ったのか?


まったくの無傷だし、アステルさんは羽根を貝のように閉じ


自分を守ってるようだ


いやあの羽、便利すぎるよね


アステルさんは羽根を広げて、僕に向かって突っ込んでくる


お互いの剣が打ち合い、火花をちらすが


くそ、また羽根がきた


僕は前と同じく大きく後ろに飛び、かわそうとするが


なに、今度は羽根で僕の体が掴まれてしまう


そのまま。アステルさんに引き寄せられる


「さあ、ダイスケさま、もう逃げられませんよ


この状態で、どうなされますか?」


まずい身動きができないぞ


アステルさんの腕と体と羽根で、完全に拘束されてしまった


でも、僕も動けないけど、僕を羽根の内側に入れたのは失敗だったね


逆にアステルさんの体に抱き着き、ゼロ距離からの魔法を放つ


もう自爆覚悟だ、いくぞ


僕の意図を察したのかアステルさんも


「やらせませんよ、エナジドレイン」


そうか、このまま僕の魔力を吸い付くつもりなんだな


魔力の尽きる前に勝負をつけなければ


「フリーズハウリング」


アステルさんの羽根の中はとんでもない寒さになってくる


うお、これは辛すぎる、僕の心が先に折れそうだ


いや、駄目だ、この距離以外で僕に勝ち目はない


僕が死ぬか、魔力が吸い付くされるか


それとも、アステルさんが死ぬか


どっちが早いかだ


「うわあああーーー」


もう、どちらの叫び声なのか、僕には分からない



いや、もう叫んでるのは、僕だけだ


「アステルさん?」


アステルさんは僕の体に、もたれかかるように。死んでいた


ああ、とてもいい笑顔ですね、とても綺麗ですよ


アステルさんの顔に見惚れていると



「お見事です、ダイスケさま」


「ロミナさん、すいません、僕も限界みたいです


もう、凍傷で手足の感覚がありません、治す魔力も尽きました」


ロミナさんは、微笑み


「ええ、分かっております、ご苦労様でした、ゆっくりお休みください」


そう言ってロミナさんは右手を上げる


「ライトジャベリン」


それが、僕がきいた最後の言葉になった







立ち尽くしたままの、ダイスケさまとアステルを見つめ、しばらくたったころ


「終わったようですね、魔王様」


私の子たちが帰ってきたようね


「エリザ、牙、ええ、すべて予定どうりに進んでいます


お前たちの働きにも感謝してますよ」


エリザが私の目を見ながら話し始める


「ロミナ様、もしよろしければ、ご褒美をいただいても、よろしいですか?」


まさか?この子


「エリザ、私の体は駄目よ、私の体は、ダイスケさまの物なのだから」


エリザが微笑み


「分かっております、でも、一度でいいので

ロミナ様との、口づけが、わたくしの希望ですわ」


口づけって、それもまだダイスケさまとも、したことないのに


エリザがすごい期待の、こもった目で、私を見つめてくる


もう、しょうがないわね、女の子相手だし


ダイスケさまも、許してくれますよね?


「わかりました、1回だけ好きにしてもいいですよ」


その言葉を聞いた、エリザは満面の笑みを浮かべ、私に迫ってくる


いや、ちょと怖いわね、あのあんまり激しくしないでね?


エリザの顔がせまり、私は目をつぶる


「ちゅ」


え? 一瞬だけ口に何かが触れたが、それだけ?


目を開けエリザの方を見ると、感極まったのか涙を流している


「ロミナ様、ありがとうございました、退屈な人生でしたが


最後に思いっきり楽しみましたわ」


様子を見ていた牙が


「魔王様、小生にもご褒美をいただいても?」


牙に頷き


「ええ、なにかしら?」


「では、最後の時を魔王様の膝の上でいつものように、よろしいですか?」


牙に頷き膝を開ける


「では、失礼します」


膝の上にいつものように牙が乗り、いつものように私は撫でる


「にゃー」


あら、エリザあなたまで(笑)


ついでですね、エリザの頭も撫でておく


「にゃー」


「ふふ、二人とも、とても可愛らしいわ」



二人を少し撫でていたが、ようやく終わりの時がきたようだ


そうこの体目掛けてもうすぐ究極魔法


{メテオ}が


発動する、長かった、この準備の為にダイスケさまにも

余計な手間を取らせてしまいましたね


でも、これで終わりです、メテオはこの体ごと王都、その周りにいる人間も


全て粉砕するでしょう、最後の花火です


きっと、あの方も、ご満足いただけるでしょう


私は顔を天空に向け叫ぶ


「さあ、すべてを無に帰せ、今こそ全てが終わる時」



ダイスケさまロミナは頑張りました



ほめてくださいね(笑)

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