第25話 最終決戦1



夜が明け、朝日が差し込み


ヘクト城を明るく照らす


「帝国軍が攻撃を開始したな」


スーラさんが呟く


「私たちも、行動を開始しようか」


ペンドラゴンさんの言葉に僕たちは頷き、帝国軍が攻めていない


裏口に回ることにする


「おい、キャス本当に、俺たちをアンデットは攻撃してこないんだろうな?」


「さあ、昨日来た、クソ猫はそう言ってたけど


もしかしたら、罠かもね(笑)」


スーラさんは渋い顔しながら


「オイオイ、罠だったら、ただじゃおかないぞ」


あれから、僕とキャスさんは、二人を起こして


猫の話をした、キャスさんは僕と魔王の事は、事情が分かるまでは


保留にしてくるみたいで、二人にはその辺の話は、黙っててくれた


「どうやら、本当に、アンデットは襲ってこないみたいですね?」


ペンドラゴンさんが先頭を歩き、周りを警戒しながら僕達に、話しかける


「どうだかな? 俺たちが逃げれないくらい


奥に引き込むつもりかもしれないぜ?」


スーラさんはまだ、疑ってるようだが


僕らは、なんの妨害もなく城下を抜け、城の入り口に着くことができた


「誰かいますね?」


確かに、女の人が僕たちを待っているようだ


あの人が、魔王の爪なのかな? だいたい身長は150cm位


真っ赤な髪に青い瞳


歳は15歳位かな?綺麗な人だけど、なんか悪役顔ってやつなのかな?


お互いの顔が完全に確認できる位置に、来たところまで近づき、僕はその人に話しかける


「貴女が、魔王の爪ですか?」


女の人は妖艶に笑い、次の瞬間爪を伸ばす


「ええ、わたくしが魔王の爪ですわ(笑)」


僕とペンドラゴンさんは頷きながら前にでる


「私の名はノースペンドラゴン、美しいお嬢さん


短い間になるが少し、お付き合い願おうか」


「帝国の皇子と聖女に賢者、まあみなさん


わたくし好みのタイプばかり、短い間なんてもったいないわね(笑)」


僕とペンドラゴンさんは剣を構えさらに、魔王の爪に近づく


「いいですわ、もったいないですけど、全員、すぐに切り刻んであげますわ(笑)」


「いやいや、爪、君の役目を忘れてはいけないよ」僕たちの後ろから声が聞こえる


僕はすぐの後ろを振り返る、そこには猫と猫を腕に抱く女性が


「ダイスケさま、よくぞ御出でくださいました」


アステルさんが依然と変わらない微笑みで僕を見つめてくる


「アステルさん、お久しぶりです、変わりなさそうですね?」


「ええ、ダイスケさまも、お変わりなさそう


ペンドラゴンさんが疑問に思ったのか会話に割り込んでくる


「ダイスケ君? 君みは?」 「ぐあーーー」


え? ペンドラゴンさんの左腕が?


「このゴミが、アステルさまの言葉を遮るんじゃないわよ」


早い、スキを突かれたとはいえ、感知できなかった


「おい、キャス早く、ノースの手をくっ付けろ」


「ええ、ちょとカバーして頂戴ね」


アステルさんが、女の人に手の平を向け


「エリザ、少しお待ちなさい」


「はい、アステルさま」


「さあ。ダイスケさまロミナ様の所まで案内しますね


爪、牙、残りの者たちの、相手は任せましたよ」


「はい、アステルさま」「お任せを、翼様」


アステルさんに促され僕は


「すいません、みなさん、魔王は必ず僕が何とかしますので」


キャスさんがペンドラゴンさんの腕をつけながら


「ダイスケ君、信じてますよ、なんとかしますから


私たちの事は気にしないでください」


ペンドラゴンさんとスーラさんは 


「理解できませんが、ダイスケ君、魔王は任せました、後で会いましょう」


スーラさんも頷き爪と牙を睨む


僕は三人に頷きアステルさんの後を追うことにした






さてダイスケさまは、翼様と消えたか


「爪、そろそろ始めるかね?」


「ええ、そうね牙、いきましょうか(笑)」


あの三人も戦闘の準備を終えたようだし、もう構わないだろう


小生が爪の陰に入ると爪が、三人に正面からの突撃を始める


「おいおい、なめずぎだぜ」賢者が独り言をいい


「ファイヤボール」「五連発だ」


なかなか正確だが、爪の陰から小生の牙が飛び、その魔法を全て砕く


「なに? どうやったんだ?」


申し訳ないが、その疑問に答えてあげる、義理はないし


すでに爪がもう肉薄している、そんな暇はないはずだがね?


「うぉおおーー」


皇子が爪の迎撃に動く、剣を上段から振り落とし


爪の頭を狙う、爪はその剣に左手で横なぎの攻撃をくわえ


「え?」 「なんだと?」 「そんな」


皇子の剣ごと、皇子をバラバラに切り裂いてしまう


「まあ、弱すぎますわね(笑)」


「クソが」 賢者がやけくそになったのか


あらん限りの魔法を連射してくるが


無駄なことだ、小生の牙が飛び、すべての魔法をかみ砕く、そして


「ぐわーーー」 爪が賢者を、数えきれないほどの、肉片に変える


最初からこうなることは、分かっていた


「さて、残りは売女の始末だけね(笑)」


「く、殺すなら、早くしなさい」


覚悟を決めたんだろうが、お嬢さんは、こんなに楽には死ぬことができないだろう


「お嬢さん、可哀そうだが、少し爪の遊びに付き合ってもらいますよ」


「そんな、いやよ」


可哀そうにすっかり、脅えてしまってるようだ


「ふふ、ごめんなさいね、わたくしも、貴女には、なんの恨みも


ないし、なるべく、早く終わらせてあげますわね(笑)」


「いやー助けて」


お嬢さんは、我々に後ろを向け逃げるが。


「あら、逃げれるわけ無いでしょう(笑)」


爪にすぐに捕まり、転ばされる


そして、爪はすごい勢いで、お嬢さんを踏みつけ始めた


「いや」 「たすけー」 「ごぼ」


可哀そうに、もう元がどんな顔してたのかも、分からないほどだ


全身もいたるところの、骨が砕けているのだろうが


まだ微かに息があるのは、爪が加減しているんだろうな


「爪、そろそろ、十分だろう、もう止めを刺してあげたら、どうだね?」


爪は頷き、足をあげると、可哀そうなお嬢さんに、最後の一撃を加えた


「おや、どうしたんだい?いやに素直じゃないか?


いつもなら、わたくしに指図するなんて、どういうつもりですの


この駄猫と怒鳴っているはずだと、思うんだけどね?」


「あら、そうでしたっけ? まあ最後ですし、友達の言う事は聞きませんとね」


「友達?小生がかね?」


「ええ、貴方にはいろいろ、お世話になりましたし


考えてみると、わたくしには、貴方以外、友達と呼べそうな方は


いませんでしたし、それとも嫌ですの?」




確かに、考えてみると、小生にも、友達と呼べそうなのは


爪くらいしか、思いつかない


「なるほど、たしかに小生たちは、友達なのかもしれないね」


「ええ、そうでしょう」


「さて、このお嬢さんは、どうしたものかね?」


「あら、捨て置けばいいじゃない?」


「いや、こんな時、人ならちゃんと葬ってやるべき


なのかと少し、思ってしまってね」


爪には興味も無さそうだな


「そうだね、確かに爪の言うとおりだね、ここは戦場だし


お嬢さんも、我々に葬られても、喜ぶまい」


「ええ、ロミナ様達の方は、終わりましたのかしら?」


「さあ、どうだろうね?」


「じゃあ、ゆっくり戻るとしましょうか」


「ああ、ゆっくり戻るとしよう」


語るべきことは、とくには、無いが


最後に友と歩くんだ、ゆっくりでいいだろう

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