第21話 最後の四天王



イーストリバーまでの旅は順調で


「随分あっけなく着きましたね」


僕がペンドラゴンさんに話し掛けると


「なんだい?途中で、襲われるとでも、思っていたのか?」


「いや、そういう訳じゃないんですけどね(笑)」


スーラさんが口を開き


「ダイスケ、取り合えずこの街のギルドに顔つなぎに、行っといた方が良くないか?」


確かにマストルさんにも、紹介状を書いてもらってるし


「そうですね、僕はギルドに行きますけど、皆さんはどうしますか?」


ペンドラゴンさんは


「そうだな、私は疲れたし宿で休ませてもらうよ」


「私はダイスケ君と一緒にギルドに行ってきますね」


とキャスさんが言えばスーラさんも


「ああ 俺もそうするかな、なにか気になる情報があるかもしれないしな」


宿に残るペンドラゴンさんを残し僕たちはギルドに向かうことにした


「ここで間違いなさそうですね?」


宿で聞いた場所に間違いなさそうだ


「そうですね、ダイスケ君、中に入りましょうか」


「ええ」キャスさんに頷き扉を開け、中に入る


そのまま受け継に直行する、受付のお姉さんにマストルさんさんからの、紹介状をわたす


「すいません、Cランク冒険者のダイスケと言います


ギルド長への面会をお願いできますか」


受け継のお姉さんは、僕と紹介状を交互に確認した後


「分かりました、いまギルド長に確認しますので、しばらくお待ちください」


僕たちはその言葉に頷き受付にあるソファで待たせてもらうことにする


「ニャー」 「あらよちよち」


気づいたら、キャスさんが猫と遊んでるようだ


「キャスその猫はどうしたんだ?」


「そこにいたんですよ、可愛いでしょう? スーラさんも一緒に遊びますか?」


スーラさんは苦笑しながら横を向いてしまった


「あらあら、こんなに可愛いのにね(笑)」


たしかに真っ黒で可愛い猫だな、僕も触らせてもらおうかな


「キャスさん僕もいいですか?」


「ええいいわよダイスケ君 ほらほら、よかったですね猫ちゃん(笑)」


「にゃーー」「可愛いですね」


しばらく、キャスさんと二人で猫ちゃんと遊んでしまった


いやすごい癒されるな魔王との戦いがなければ、このまま飼いたいくらいだな


キャスさんもそう思ってるらしく


「ねえ、ダイスケ君この子の飼い主が居なかったら、私たちで飼わない?」


さすがにスーラさんが口を出してくる


「おいキャスいい加減にしとけ、いまそんな暇があると思ってるのか?」


キャスさんはスネたように


「ねえ猫ちゃん、ちょとくらい、いいよね?」


「あの? すいませんギルド長が、お会いになるそうです」


受付のお姉さんが遠慮がちに声をかけてくる、結構猫ちゃんと遊んでてしまったみたいね


「分かりました、おい行くぞ、ダイスケ、キャス」


僕たちも頷きお姉さんの後に続く


スーラさんが呆れたように


「おいキャスその猫は、置いていけ」


キャスさんは聞こえないふりしながら


「猫ちゃん、おとなしく、いい子にしてるんですよ(笑)」


スーラさんも諦めたようだ(笑)




「コンコン」 「マール様 コンテントのCランク冒険者を連れてきました」


「どうぞ、入ってください」


お姉さんが扉を開けてくれてる


僕とキャスさんスーラさん、そして猫ちゃんが入り(笑)、扉が閉じられる


この人がこの街のギルド長が 茶髪で黒い瞳


座ってるんで身長は分からないけど


歳はたぶん、40歳前後あたりかな?


「そんな、入り口に居ないでそのソファにどうぞ」


僕たちは勧められるままに、ソファに腰を下ろす


「さてダイスケさんですか? まず私の自己紹介をこの街のギルド長を


していますマールと言います」


そう言って軽く会釈してくれる


「はい僕がダイスケです、紹介状に書いてあったと思うんですけど


こちらは僕と一緒に行動してもらっている、キャスさんとスーラさんです」


スーラさんとキャスさんもマールさんに軽く会釈する


「ダイスケさん、さっそくですけど、この手紙に書いてあることを


確認させてもらってもいいですか?」


僕は頷き


「ええなんでしょうか?」


「では、まずラルテントの事ですけど、住人すべてが死んだのは事実なんですか?」


「はい事実です、ラルテントの住人は全滅しました」


僕の言葉に戦慄したのかマールさんはしばらく言葉がでないようだった


「マールさん、大丈夫ですか?」


「ええ すいません、話を続けましょうか」


スーラさんは頷き


「それでですが、手紙に書いて有ったと、思いますが魔王の手下が東に向かって


いったんですがなにか、それらしい情報はないですか?」


マールさんは考え込み


「すいません、まったく思いつきませんね?」


「まあ、そうだろうね、ここに魔王様はいらっしゃないし(笑)」


え? いま誰が?喋ったんだ?


全員が周りを見回すが


「いやいや何処を見てるんだい? 小生なら、ず~とここに居るのだが」


え この猫か?


「キャスさん」 僕は叫びながらキャスさんの膝の上に猫を捕まえようとするが


猫は僕より早くギルド長の方に、飛ぶ 「きゃあーーー」


何をしたか、分からなかったが、マールさんの顔が何かに削られた。


くそ、マールさんが


「やろう」スーラさんも立ち上がり杖を構える


僕はキャスさんを後ろに庇い猫の前にたつ


「おいおい、自己紹介くらいさせてくれないのかね?」


スーラさんが


「いや クソ猫とかでよくないか?」


僕も同感だが


「ひどいな、小生には魔王の牙と言う、魔王様よりいただいた


立派な名前があるというのに(笑)」


キャスさんも騙されたのが、頭にきてるのか


「いやクソ猫の方が、似合ってるわよ」


「いやいや、随分嫌われたものだ(笑)、改めて


名乗らせてもらおう


小生は魔王さま直属の四天王の3、魔王の牙、どうぞよろしく(笑)」


こいつ四天王だったのか


「ダイスケ丁度いい、こいつの口を割らせるぞ」


「はいスーラさん」


猫は大きく首を振りながら


「いやいや、残念だがそんな時間はないと、思うよ」


猫は、ものすごい大声で


「誰か来てくれ、ギルド長がマール様が殺された


犯人はコンテントから来た冒険者だ逃がすな」


「やろう、ふざけた真似を」


猫はニヤリと顔をゆがめ


「じゃあね(笑)」


影の中に消えた?


僕とスーラさんは消えた影に攻撃しようと近ずくが


「ドンどんどん」「ギルド長、今のは?」


「まずいですね」


スーラさんも頷き


「ああ、まずいな完全にハメられたぞ」


キャスさんも焦りながら


「おとなしく捕まっといた、ほうがいいのかな?」


たしかに、ここで逃げたら、僕らが犯人として


追われることになるし


後で容疑を晴らすのも難しくなるかもしれない


スーラさんもそう考えているみたいだ


「くそ ここは、おとなしくして、容疑を晴らすしかないか」


僕もキャスさんも頷く


僕たちは扉を開け事情を説明したが


疑いは晴れず、第一の容疑者としてギルドの一室に、監禁される事になった


「くそ、あいつら人の話をまったく、聞きやがらねえ」


スーラさんが壁を蹴飛ばしながら怒鳴る


「うるさいわよ、もう静かにしてよ、ただでさえ頭にきてるのに、あのクソ猫が」


キャスさん、機嫌がわるいな


「よく言うぜ、猫ちゃん、猫ちゃんって、馬鹿みたいな顔してたくせに」


二人がにらみ合う


「もう二人とも、やめましょうよ、それよりこれからどうしますか?」


スーラさんが


「ノースが何とか、話を上手く纏めてくれると助かるんだが」


キャスさんも


「そうね、私たちはギルド長殺しの容疑者だけど


私たちの武器や体にはギルド長の


血がついてないし、私たちは、下手に動かないほうがいいのかもしれないわね」


ペンドラゴンさんは帝国の皇子だ、僕たちが騒ぐより


おとなしくしてた方がいいのかもしれない


それにしても、ここにロミナさんは居ないって、あいつは言ってたよな


いや、それは後か、今は僕たちの容疑を晴らさないと


でも、どうしたらいいんだ?

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