第4話 冒険者ギルド

僕の朝は早い


とゆうよりほとんど寝てない


昨日いろいろ考え、それを実行するために


こんな朝早くから動き出したんだ


さっき厨房のメイドさんに聞いたとおりだ


馬小屋で馬の世話をしているアステルさんを見つけ傍に近づく


「おはようございます、アステルさん」


アステルさんも笑顔になり挨拶してくれる


「おはようございます、ダイスケさま」


「馬の世話ですか? 精が出ますね」


馬に興味がある訳じゃないが、まあ世間話ってやつだね


「ええ、毎朝かまってやらないとゴネ始めますんで(笑)」


よかった、この人はまともそうだ(昨日、馬で人を引きずり回してたのは無視しとこう)


「アステルさん、ちょっと教えて欲しいことがあるんですけど、いいですか?」


「なんでしょうか? ダイスケさま、私で答えられることでしたら」


「はい、実はですね、僕に何かできるような仕事がないか探してまして」


「仕事ですか? 別に仕事なんてしなくても、ダイスケさまならこの家にいれば食べるのは困らないと思いますが」


いや、この家にいたくないから聞いてるんだけど、それ言うと角がたつな


「いや、一人前の男は自分の面倒は自分で見るものですし、いつまでも居候してる訳にもいきませんしね」


「なるほど、さすがはダイスケさまです。立派ですね」


アステルさんは満面の笑みを浮かべてる


「いや、まあ、当たり前ですよ(笑)」


「わかりました、でもダイスケさまが、何をできるのか、私は知りませんし?」


そういえばそうだよね、僕も何ができるか分からないんだけど(笑)


「いや、例えば誰でもできるような、単純な作業でもいいですよ?」


「そうですね、じゃあ冒険者になりますか?」


冒険者? それは何をする人なんだ?


「すいません、冒険者って何をするんですか?」


「ええとですね、まあ、なんでも屋ですね。モンスターの討伐から薬草採取、商人の護衛とか、いろいろですね」


なるほど、それなら僕にも出来ることがありそうだね


「それに冒険者ギルドのメンバーカードは、身分証明書にもなりますしね」


「冒険者として仕事をしなくても、ギルドには入っておいた方がいいかもしれませんね」


そういってアステルさんはギルドカードと思われる物を見せてくれた


「これがギルドカードですか、何の金属ですか?」


すごいな、顔写真みたいなものまでついてるぞ、運転免許所みたいだな


「さあ、私もそこまで詳しくは知りませんが何かの魔法で作られてるみたいですよ」


「偽造できないような仕掛けがいくつかあるらしいのですが、私にはよくわかりません」


すごいな、意外にセキュリティがしっかりしてそうだ


あれ、じゃあ、作るときに身分が証明できないと、まずくないか?


「あのアステルさん、それ僕でも作れるんですか? 僕この街に来たばかりなんですけど?」


「ああ、ダイスケさまなら大丈夫ですよ、もうこの街の住人として伯爵様も認めていますし」


「なんなら、私が付いていきましょうか? すぐに話がつくはずですけど」


いや、セキュリティ、ガバガバだな(笑)、だけど、身分証明書は作っておくべきだよね


「ありがとうございます、じゃあお願いできますか、アステルさん?」


「ええ、でもギルドが開くのは昼頃からなので、お昼前にここに来てもらえますか?」


「わかりました、昼前ですね」


さて、じゃあ昼間までどうしてようかな、そうだな、あんまり寝てないし、ここで時間になるまで


仮眠させてもらおうかな


「アステルさん、すいませんけど、ここで仮眠してても、いいですか?」


「え、ここでですか? 仮眠するなら、お部屋に戻ったほうが?」


そうなんだけど、部屋にいるとロミナさんが


「いや、ここがいいんです、1回藁の上で寝てみたかったんですよ(笑)」


「そですか、じゃあ、そこにどうぞ、私は馬の世話を続けさせてもらいますね(笑)」


「ええ、僕はここにいないものと思ってください(笑)」


んん なんだ体をゆすられている


「ダイスケさま そろそろ起きてください」


ああ そうか すっかり爆睡してしまった


「すいません  いま 起きます」


「じゃあ ギルドにいきましょうか」


「はい お願いします」


「そうですね ついでなんで ギルドまで街を少し案内しますね」


「ありがとうございます」 やっぱりアステルさんはいい人だな


僕とアステルさんは 街を散策しながらギルドへの道を歩いて行った


なんか いいなこんな美人と二人で いやデートみたいだな(笑)



「ダイスケさまあそこが冒険者ギルドですよ」


なんだろ いちばん近いイメージは西部劇の酒場?


「はい じゃあ 入りましょうか」


「ええ 付いてきてください」


中に入ると おお イメージどうりだ


酒場じゃないか 昼間からのんでるのかこの人たちは?


丸いテーブルが3個設置されていて 男たちが5人ほど 各々テーブルに分かれて飲んでいる


アステルさんはそんな 男達には見向きもせずに 奥のカウンターに向かっている


「ギルドに入会希望の人を連れてきた セイラ手続きをしてやってくれ」


あの受付の女の人はセイラさんって言うんだな どうもアステルさんとは顔見知りみたいだな


「はい アステルさん そちらのかたですか?」


「ああ そうだダイスケさまだ」


「ダイスケさまですか じゃあこちらの書類に記入してもらえますか?」


え 記入って僕ここの文字とかしらないんだけど どうしようかアステルさんに代筆してもらおうかな


あれ 読めるぞ 文字もかけるぞ すごいな神様 感謝はまったくしないけど


仕事はできることは認めておくよ


「えーーと キサラギダイスケさまですね 年齢は16歳」


「ダイスケさまは私と同い年だったんですね」


え アステルさんてっきり年上と思ってたんだけど 同い年だったんだ


「そうみたいですね なんか嬉しいですね」


アステルさんも微笑んでくれる おお すごいいい雰囲気だ


「すいません 最後に能力の測定をしますんでこちらに来てください」


セイラさんが奥の部屋に手招きしている


「はい いまいきますね」 ん? 能力測定? 握力とか垂直飛びとかするのかな?


奥の部屋に入るそこには なんだろあれ? 占いに使うような水晶玉が置いてあるんだけど


「はい この水晶玉の上に手を置いてもらえますか それだけで戦闘力と魔力が測れますから」


戦闘力の数値化とか まず意味が分からないけど あれかなスカ〇ター みたいな感じなのかな?


あれでも 僕の能力はマックス 魔力マッスクだって 神様がいってたよね


まずいな あんな インチキの力を自分の力だって測定されちゃうんだよね


うーーーん なんとかパスできないかな


「すいません 測定ってどうしても やらないといけないんですか?」


「そうですね ギルドに入会した後の適正検査も兼ねてますんで やってもらわないと 困りますね」


やっぱり駄目か よし 適当な数値のところで 微妙に手を浮かせばなんとか なるかも


それじゃあ 適当な数値を


「ちなみにアステルさんは どれくらいの数値なんですか?」


「え 私ですか? そうですねたしか前測った時は 戦闘力300から400 魔力が100から150でしたね」


へえ なんか 大雑把な数値がでるんだな よし アステルさんの数値近くになったら手を浮かそう


「じゃあ いきますね もう手を置いていいんですか?」


「はい いつでもどうぞ」


よし手を置くぞ


「はい 終りました いま 数値がでますからね」


ええ こんな一瞬でおわるの? 聞いてないんだけど


「あら 失敗したみたいですね もう1回お願いできますか」


え 失敗? まあ いいか 今度はすぐ手をあげてみよう


「じゃあ どうぞ」


「はい」


「はい 終りました」


早すぎるよ すごい高性能だねその玉


「あれ おかしいですね 壊れちゃたのかしら?」


アステルさんが


「セイラどうしたの?」


「ええとですね 戦闘力と魔力があり得ない数値を出してるんですよね」


「へえ いくつなの?」


「はい 戦闘力 魔力どちらとも 99999なんですよ」


アステルさんが呆れて


「いやそれはあり得ないだろう 壊れているんじゃないか?」


「そうですよね すいませんもう1回お願いできあますか」


すいません たぶん壊れていません


「はい 手を置きますね」


もうあきらめた 僕はこの水晶玉には勝てない(笑)


「もう ほんとに壊れちゃったみたい 新しいのを本部から取り寄せないと」


「でも 困りました あのダイスケさん 申し訳ないんですけど 実技で能力を測らせてもらいますね」


「あの 実技ってなにするんですか?」


「はい 教官と簡単な試合をしてください」


「あの 教官に負けると ギルドに入れなかったするんですか?」


「いいえ そんなことはありませんよ とりあえず試合してもらえれば それで大丈夫ですから」


じゃあ 軽く負けとけば 問題なさそうだね


僕たち3人はギルドの練習場に場所を移した


セイラさんが教官と思われる男性を一人連れてきた


「すいません この人と試合を おねがいしますね」


すごい巨漢の人がきたな2M近いんだけど 歳は40位?


「話はセイラから聞いた この支部のギルド長をしているマストルだ よろしくたのむぞ」


ええ なんでギルド長みずからなの?


僕が驚いているのが わかるのか


「いや この支部は人で不足で 俺が戦闘教官も兼ねてるんだ」


「はあ そうなんですか じゃあ お手柔らかにお願いしますね」


「ああ 心配するな怪我なんかさせないから」


アステルさんがムッとしたのか


「マストル殿 ダイスケさまは強いぞ油断したら怪我をするのは貴方のほうかもしれないぞ?」


「ほう アステル殿にそこまで言わせるとは どうやら俺も本気で行ってもよさそうだな」


いややめて アステルさんなに 煽ってるの 軽く負けるつもりだったのに


「ダイスケさま今日も 素手でやるのですか? ここは一通りの武器はそろってますよ?」


「え じゃあ その剣でもいいですか?」


いや どの武器も使ったことないから どれでも一緒なんだけど


「はい どうぞダイスケさま」


アステルさんが僕に剣を手渡してくれる だいたい長さが1Mちょいで 当たり前だけど刃は潰してあるみたい


剣を受け取り 何気なく一振り 「ビシーーーーーー」


うおなんだ すごい音したんだけど


僕を見るセイラさんマストルさんの目つきがかわった


アステルさんが


「さすがダイスケさまですね 昨日は素手の戦いしか見れませんでしたが 今日は素晴らしい剣の舞を見せてもらえそうですね」


いや昨日の飛び蹴りが アステルさんには舞にみえてたの?


あんなに おなしな戦い方だったのに?


「ほう これは確かに油断したら俺の方が怪我しそうだな いいだろう 俺も本気でいくぞ」


「さあ剣の舞ってやつを見せてもらおうか?」


ああ もうどうすればいいんだ? どうすればさりげなく 負けられるんだろう?


「よし こちらはいつでも いいぞ さあダイスケ いつでもこい」


よし 決まった軽く剣を振り上げ マストルさんに受けてもらおう


そしてすぐに 剣を弾かれたふりして手放そう それからすぐに まいりましたって言えば完璧のはずだ


「じゃあ いきますね」


「おう いつでもこい」


「いくぞーー」 気の抜けた気合をいれて ゆっくりマストルさんに近ずく 


ゆっくり剣を振り上げ 振り下ろす ここだ軽くだ軽く振り下ろすんだ


「ぐごおおーーー」 マストルさんがすごい気合をいれて 僕の剣を迎え撃つ


「ポコン」 間抜けな音をだしマストルさんの頭に剣が直接あたる 


すごい手加減してたから まったく痛くはなかったみたいだけど 


え?なんで? 剣で迎え撃っていたよね?


アステルさんが感激したのか


「素晴らしいですダイスケさま まさに剣の極意を見せてもらいました」


マストルさんも


「ああ 剣の動きは全部見えていたのにな あれこそ間合いの妙ってやつなのか?」


「あれほどの技を見せられては 俺も完敗を素直に認めなければなるまい」


いや 剣の極意とか間合いの妙とか なにそれ?


やめろ 俺をそんな目で見るな


これは俺の力じゃないんだ 辞めてくれ


そのあと マストルさんやセイラさんがなにか 言ってたようだが 罪悪感と羞恥に心がいっぱいになり それどころじゃなかった


ギルドの帰り道でまだ アステルさんが興奮して さっきの話をしている


「さすがダイスケさまですね あのマストル殿にまさに 何もさせないとは」


いやもう その話題は やめてくれ


「ははは いやまぐれですよ ほんとに まぐれですから」


アステルさんはしきりに うなずき


「いや あれほどの力を見せながら謙虚さも忘れない 私も見習らないといけませんね」


駄目だ何をいっても 逆効果だ もう なにも言わないで 笑っておこう


「ははははあ」


アステルさんが真剣な顔して


「ダイスケさま 昨日の夜 ロミナ様がダイスケさまの寝室に入るのを見ました」


え  あれを見られていたの


「あのあとロミナさまとは何かあったのですか?」


「いえ 何もないです ほんとです すぐに帰ってもらいましたから」


アステルさんはホッとしたのか


「よかった 実はダイスケさまを見た時 運命を感じたんです まさに雷に打たれたようでした」


おーーーい お前もかよ

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