第2話 異世界、一日目
ここは本当に異世界なのだろうか。
さっきまでのことは全部夢ってことはないだろうか?
どっちにしても、ここは何処なんだろう?
草原なのはわかるんだけど、
この草は見た事あるような気もするんだけど。
僕はそこまで植物には詳しくないし。
とりあえず、街か人それか道を探そうかな。
でも、どっちに行けばいいんだろう?
もうどっちに向かっても変わらないし、感でいくか。
よし、あっちに向かってみようかな。
もう2-3時間は歩いているはずだけど、全く疲れてこないな。
あの神様が言ってた肉体能力マックスのおかげなんだろうか?
あの神様には全く感謝する気にはならないんだけど、便利かな。
そんなことを考えている時、草むらから音が聞こえてきた。
え、何かいるの? 「すいません、どなたかいるんですか?」
「ガウーーー」 草むらから大きな犬、いや狼か?
それが僕を囲むように周りの草むらから出てきた。
4、いや5匹か、うわ、いきなり来た。その中の1匹が
僕に向かって牙を見せながら、向かってくる。
「うわーーーー」
殺されると思った僕はパニックを起こしながら後ろに逃げ出した。
その時、後ろで僕を待ち受けていた狼とぶつかるが、そのまま狼を跳ね飛ばし、
走り続ける。30秒も走ったところで気づく。
あれ、今、僕、狼を跳ね飛ばしたよな?
後ろを振り返れば、狼の群れが4匹僕を追いかけてきてる。
あれ、追いかけられてるけど、僕の方が早いぞ。
よし、このまま振り切るぞ。
よし、あの草むらをジャンプで飛び越すぞ。
「あれ?」
地面が無い? 草むらの向こうは崖だったの?
「うわーーーー」
いや、崖ってほどの段差はなかったみたいだけど。
下に落ちる時に、人の集団がいるのが目に入った。
まずい、あの集団に飛び込んでしまう。
「危ない、どいてください」
僕は大声で下の集団に叫ぶ。下の集団が上を見上げるが、
遅かったようだ。集団の一人に思いっきりダイブしてしまった。
「すいません、大丈夫ですか?」
「お願いします、助けてください」
「え」 なんですか?
助けを求めてきた女性を見れば、すごい美少女が、身長は150位か金髪で碧眼、年は14-16くらい?
今まで見たこともないような美少女が僕に助けを求めていた。
よく見ると、助けを求める美少女の前に剣を構えている人がもう一人。この人もすごい美人だな、170位で、茶髪に青い目の。
後ろの子とはタイプが違うけど、こっちも見たことないような美女だ。
僕が二人に見とれていると、
「なんだ、こいつは?」「上から来たのか」「おい、なんだこいつは?」
あ、そうだ、僕はこの人たちにダイブしちゃったんだっけ。
回りを見回せば、殺気だった男たちが5人ほど。僕の下に完全に伸びた男が1人。
まずい、全然状況がわからないけど、僕が殺されそうだってのはわかる。
「しねーーー」右にいる男が僕に剣を振り上げた。
またパニックになった僕はそのまま、後ろに逃げる。そしてまた後ろにいる男を跳ね飛ばしてしまう。
後ろに大きくジャンプし、跳ね飛ばした男を見れば、完全に気を失っている。
あ、そうか、心に余裕ができた僕は向かってくる男に飛び蹴りをくらわせる。
1発でその男は気絶する。おお、なんかすごいな、楽勝ぽいぞ。
そのまま僕は、遠く離れて飛び蹴り、離れて飛び蹴りを繰り返して、男たちを全員気絶させることができた。
僕の戦闘を見ていた2人が、男たちが全員倒れたことを確認すると、僕に近づいてくる。
「危ないところを助けて頂いて、ありがとうございます」
「私のこの先にある街の領主、ボッシュ伯爵の娘、ロミナと言います」
「よろしければお名前を聞かせてくれませんか」
伯爵? 貴族なのかな。あ、今気付いたんだけど、なんで言葉が通じるんだ?
あの神様が何かしてくれてのかな? まあ、それは後でもいいか。
「はい、僕の名前は如月大介と言います。偶然なんで、そんなに気にしないでもいいですよ」
「如月ダイスケと言いますか? かわったお名前ですね」
「ええ、まあ、遠くから来ました」
いや、異世界からって言ったら、間違いなく不審人物だよね。
「そうですか。たいしたお礼も出来ませんけど、どうか家に来てください。父にも紹介したいので」
いや、たしかに助けたみたいだけど、インチキみたいな力で助けたわけだし。
たとえるなら、カンニングして、いい点とって、褒められてるみたいで、なんか罪悪感を感じるんだけど。
「いえ、そんなに」 そこまで言ったところで、「ザシュー」
え、後ろを振り返ると、もう一人の女性が、男たちの首に剣を刺していた。
えええ、なにしてるんだ、この人は、僕の視線に気付いたのか。
「気になさらずに、どうぞお嬢様とお話を。こちらはすぐに終わらせますので」
いや、終わらせないで。気絶してるし、縛るとかにしようよ。
「あの、縛って連れて帰るとかはしないんですか?」
「ええ、一人はそうしましょう。後は邪魔ですので」 「ザシュー」
容赦ないな、異世界。なんてハードな場所なんだ。
目の前にいるロミナさんに、
「すいません、あちらの女性は?」
「はい、私の護衛で騎士のアステルですわ」
「アステル、始末が済んだら、如月ダイスケ様にお礼を」
「はい、お嬢様、すぐに済ませますね」
「それにしても、不思議な戦い方でしたけど、如月ダイスケ様はお強いんですね(笑)」
いや、インチキの力を褒められても、全然嬉しくないな。
「いえ、たまたまですよ、はははは」
なんとか、この話題をやめさせよう。僕の心が砕けそうだ。
「あの、僕のことはダイスケでいいですよ」
「そうですか、じゃあ私のことはロミナで結構ですわ」
「お嬢様、賊の始末が終わりました。一人は生かしてありますので、連れ帰り拷問に掛けましょう」
そうだよね、当たり前に。拷問だよね(笑)。
アステルさんが僕を見ながら、
「ダイスケ様は遠くから来たと言ってますが、荷物や武器は持っていないようですが?」
そうか、たしかに手ぶらで旅って、おかしいよね。お、そうだ。
「ええ、実は、さっき、狼の群れに追われてですね、その時に全部落としてしまったみたいなんですよ」
「狼? ウルフですか?」
「ええ、まあ、たぶんそれです」
「まあそうなんですか、それは大変な目に合いましたね」
「ダイスケ様、先ほども言いましたが、父にも会わせたいので、家にいらしてください」
うーーん、ほかに当てもないし。
「わかりました、じゃあ、少しお邪魔させてもらいますね」
ロミナさんとアステルさんは馬に乗り。
男たちの馬はあるけど、
「ロミナさん、すいません、僕は馬に乗ったことがないんで、走ってついていきますね」
ロミナさんは驚いた顔して、
「いえ、それなら、私の後ろに乗ってください」
「いいんですか?」
確かにその方がありがたいけど。
「じゃあ、お願いします」 ここで遠慮しても変だしな。
「すいません、お嬢様、私はこの男を引っ張らないといけないので」
アステルさんの馬には気絶し縛られた男がロープで繋がれている。
馬で引きずるんですか? もう拷問かいしなんだ。
ロミナさんの体に掴まるのはまずい気がするんだけど、どこに掴まれば。
僕が迷っていると、
「私の腰に掴まっていてください、落ちてしまいますよ」
そうだよね、しかたがないよね。
「じゃあ、アステル、戻りましょうか」
「はい、お嬢様」
街には3時間くらいで着いたけど、途中まで聞こえていた男の悲鳴が聞こえなくなったのは気にしないことにした。
「着きました、ここがコンテントの街ですわ」
ここがそうなんだ。石垣に囲まれた城塞都市ってやつなのかな。
今日はザンザンだったけど、
へたすればウルフのいる草原で野宿だった所を、
一日目で街にたどりつけたんだ。
運がいい。そう前向きに思っておこう(笑)。
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