第4話 社長佐々木雨

 ピンポーン


 完全に日が落ち、月が昇る頃クラベルこと海斗の家にチャイムが鳴り響いた。


「おぉー雨先輩来たっぽいよー」


 噂の雨先輩がやって来たようだ。それにしても今日は濃い1日だった。海斗の誕生日をサプライズで祝おうとしたら、何か配信に参加させてもらい、歌を歌ってVtuberとしてデビューすることになった。


「噂の雨先輩かぁ...」


「社長か、咲気をつけてくれテンションがバカ高いと思うから。彼女の口車に乗せられないようにしてくれ。」


 そんなに恐ろしい人なのか、雨先輩。それにしてもそれについて行ける雨井が本当に凄いと思う。


「もぉー海斗きゅんなんでそんなこと言うのかな...」


 パッチリとした目にきれいな黒髪。なんというか学級委員長のような雰囲気だ。しかしちょっと身長が低いため末っ子ぽくもある。

 そんな人が扉開けるなり雨井に抱きついて海斗の頭をぐりうりと撫で回している。どんな光景だよ...


「えっと雨社長でいいですか?」


 びしっと手を挙げてそうたずねると、雨社長はとてつもないえがおを発動させてこちらにとことこやって来た。


「うわぁ~、可愛いっ。Vじゃなくて顔出ししても活動できるんじゃないの?それよりも抱き締めていい?」


 うーん委員長というより...例えが思い付かない。実に不思議な人だ。

 などなど考えていたら抱き締められていた。


「咲の素顔を知るのは俺達だけでいいだろ。」


 私以外の女性陣が顔を赤らめる。どこにそんな要素があるのか。私には全くわからない。


「翠とクラベルいや、咲と海斗を出会わせてくれた神に感謝を」

「まじでそうですぅ」


 なにがなんだか訳のわからず、けれども何か恥ずかしい。

 私は紛らわすために一気にお酒を飲んだ。


 その先私はどうやって帰ったのか記憶がない。しかし雨社長と連絡先を交換してデビュー日について連絡をする。と言っていたことしか覚えてない。

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