第8話

最初から霊を取る事ができるなんて、素晴らしい事だよ。」

と、声がいつもと違い弾んでいる。


「れ、霊が写っているんですか?」

と、驚きと恐怖の籠った声を発してしまった。

「そうだよ、ここ観てご覧よ」

と、写真を指さし

「これだよ。小さく薄く見えるのが霊だよ」

僕は目を凝らして見た。

「う〜ん。 何か見えますね、小さいけど。

なにか、嬉しいそうにしてますね。

笑顔ですね。」

と、僕は見えたまま語った。


「よく解るね。感心するよ。この霊は非常に明るい霊だな。

写真を撮ってもらえるから、ピースサイン出してるよ。

これは、男だな!

こっちは、女だな。」

と、店主はもう一枚の写真を僕に見せてくる。

その一枚よりも、「霊がピースサインで写るのですか?」

と気になって聞いた。


「そりゃ、霊だって写真を撮れられる時はポーズするだろう。

それよりこっちの写真を見ろよ!

こっちの女は化粧してるぞ。

きっと化粧の途中にあんたが写しているので、びっくりしたんだ!

あんたを見て『チョット待って』と言っているよ。きっと」


こっちが「チョット待って」と言いたい。


幽霊が化粧するのか?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る