第5話



私の住むアパートは、築何年か判らない二階建てで

古い事には間違いがない。私の住むのは2階の右端。

部屋室は5室あるから、全部で10室。

誰が住んでいるのか興味も無い。


私の住むアパートは、台所と風呂とトイレがあるが、部屋は一つである。

その部屋にはベッドとテレビと座卓があり、二人以上入ると窮屈に感じる。

でも、自分のサラリーではこの程度の所が分相応だ。


私は部屋に入るなり、霊が撮れる例のカメラを鞄から出した。

フイルムは二十枚入りのカセットになっている。

……このカメラ、レンズ越しに霊が見えるのだろうか?……

と、ふと疑問を感じた。

……見えたら怖い……

と、思いつつカメラのファインダーから見てみる。

「何も霊など見えないじゃないか!もしかして騙されたか?」

と、後悔の言を吐いたがこの部屋には誰も居ない。

「もしかして、何処でもいいから写すと霊が写るのか!」

と、自分に言い聞かせてシャッターを押してみる。

「カッシャ」と手応えを感じる音が。

「霊、写っているのかな? もう一枚撮るか!」

と、独り言。

今度は台所の方を撮ってみる。

「カッシャ」と、同じ手応え。

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