参考記録② (2003年8月6日)
《とあるネット掲示板から抜粋》
1:地元民 ID:BWkqH1ICF
俺の地元のちょっと怖い話してもいい?
こないだ爺ちゃんが死んじゃって、葬儀のときに思い出した話なんだけど
2:名無しの民 ID:lOsBz2YLN
>>1 kwsk
3:地元民 ID:BWkqH1ICF
まぁ、そんなに大した話でもないんだけどさ
4:地元民 ID:BWkqH1ICF
大学入る前くらいまでかな。俺、毎年正月は爺ちゃんの家に泊まって一週間くらいごろごろしてたんだよね。従兄に遊んでもらえたし、そこまで田舎じゃなかったから遊び場もたくさんあってさ。年末の楽しみと言えば、クリスマスプレゼントとお年玉に並ぶくらい、爺ちゃんの家に泊まるのが好きだったんだ。
でも、どうしても不思議な、と思うことが一つだけあった。
「いいかよく聞け。一月九日だけは、夜には絶対、家の外に出るんじゃねぇぞ」
っていうのが爺ちゃんの口癖だったからなんだ。変だろ?
5:名無しの民 ID:bk/6IVtlv
>>4 外出禁止ってこと? なんでか知りたいな
6:地元民 ID:BWkqH1ICF
>>5 だよな。
俺も気になって爺ちゃんに外出禁止の理由を聞いたけど、その度にはぐらかされてさ。だから婆ちゃんにもその理由を聞くことにしたんだ。まぁそのときには婆ちゃんにも相当ボケが入ってたから、まともな答えは返ってこなかったけど。
「昔は一月九日は、ヨリガミ様が自分の家を探す日だったから」だってさ。
ヨリガミ様ってなんだ? 有識者教えてくれ。
7:名無しの民 ID:lOsBz2YLN
>>6 ヨリガミっていうのは漢字で寄神と書く。
簡単に言うと海から浜に打ち上げられたクジラとかの、漂着物を神とする信仰のことだ。昔の漁師とかがよく崇めてた。有名どころは蛭子または恵比寿だな。
8:地元民 ID:BWkqH1ICF
>>7 はえーサンガツ。そうか神様やったんか…。
9:名無しの民 ID:bk/6IVtlv
>>6 「昔は一月九日は、ヨリガミ様が自分の家を探す日だったから」
『昔』ってことは、今はもうその風習はないんか?
10:地元民 ID:BWkqH1ICF
>>9 うん。もう何十年も前に、村の皆で頑張ってヨリガミ様を海へと帰したんだってさ。「だから『忌籠り』はもうやらなくていい」って婆ちゃんが言ってた。
あ、忌籠りっていうのは一月九日に外に出ちゃいけないっていう風習のことね。『いごもり』って読む。
11:名無しの民 ID:lOsBz2YLN
寄神っていうのはあくまで、神の種類の名前なんだ。だからその神様にも、寄神じゃなくて神としての本当の名前があるはずなんだが。地元民は何か知らないか?
12:地元民 ID:BWkqH1ICF
あー。そういえば何か言ってた気がするなぁ。なんだったかな。ロクロ様? ウツボ様? みたいな? 思い出せないや。
許してクレメンス……。
13:地元民 ID:BWkqH1ICF
あ、最後に一つだけ。爺ちゃんは「十五の頃、そいつに儂は別の世界から連れてこられたんだ」とかなんとか、昔酔っぱらってたときに言ってたな。
それだけ妙に記憶に残ってるわ
(スレはここで途絶えている)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます