第9話 夏の夜の遊び
「白飯と塩サバって、最高の相性で美味しいですよね〜。ウマウマ」
「うん」
『右に同じですぅ』
「あ、そうだ、池の水ですけど、バクテリア剤を投入し、しばらく放置しますね」
朝食の塩サバと白飯と味噌汁とだし巻きたまごを食べた後に、やおら宣言するひなた。
「ああ、水作りってやつね」
「はい。なのでメダカ達にはしばらくバケツで待機してもらいます」
「そうね、数もそんな沢山はいないから酸欠にはならないでしょう」
「はい、でもあの広さの池にメダカがたった五匹では目立たないから、今度地元のメダカ育ててる人から買ってきます」
「そうね、流石にあの小さいの五匹では寂しいかもだし、いいかもね」
お祭りのメダカはバケツの中で元気に泳いでる。
「関係ないけど、お昼のおやつはかき氷よ」
「やったー!」
「メロン味オンリーだけど」
「問題ないです。色が違うだけで味は同じ説ありますよね」
そうなのだ。
実は香料と着色料の違いでその味を食べた「気分」になるだけである。
「高級店のは、凍らせた苺削ったりもするみたいだけどね、うちのはふつーのです」
「オッケーです」
『私もオールオッケーです!』
その時ピンポーンと玄関のチャイムが鳴った。
「はーい!!」
私が急いで玄関に向かうと、いたのは宅配の人だった。
サインをして荷物を受け取った。
「鈴先生、チャイムなんでした?」
「弟から荷物が届いた、あ、大型スーパーのパンとかお菓子が沢山だわ。お野菜くれた人におすそ分けのお返しにしよ」
「先生、お野菜玄関に置いてたの誰かわかったんですか?」
「大体は予想つくから3軒全部に何かあげとけばいいはず!」
そして朝食の片付けを終えてから、弟からの支援物資をおすそ分けに出向いた。
ジーンズとTシャツという普通の姿で、チャリに乗って。
そしてまた追加のお野菜や何故か花火まで貰って戻って来てしまった。
これがおすそ分けのループ!
「中島ー! 夜に一緒に花火しようぜ!」
「そこは野球じゃないんだ! でも夏っぽくていいですね!」
ひなたが私の日曜の夕方にあるご長寿アニメのネタにケラケラ笑う。
それからしばらくお互いクーラーの効いた部屋で原稿作業。
お昼はいただいた夏野菜でカレーを作った。
具材は角切り牛肉と玉ねぎとパプリカと茄子とトマトとオクラ。
「カレーにパプリカが入ると色が綺麗で映えますよね」
そう言いつつ、ひなたがカレーの写真を撮っている。
三時のおやつにはかき氷を作る。
「先生は休んでてください、手を休めて! 氷は私が削ります!」
「ありがとうわひなた」
絵を描く作業のある私を気遣ってひなたがかき氷の、機械のハンドルを代わりに回してくれるらしい。
とっておきの器を用意したので、楽しみ!
『わー、このガラスの器、綺麗ですねぇ』
「器の下の方にステンドグラスみたいにいろんな色が入ってますね、ほんとにかわいい」
「通販で買ったの、確か津軽のガラス」
なんかカラフルな模様が入ってて超かわいい。
完成したかき氷の写真を撮る。
かき氷はシャリシャリして冷たくて美味しかった。
「冷たくて美味しいですね!」
「急いで食べると頭キーンてなるよ」
『それもまた良きかなぁ〜』
いいのかよ! と、脳内で妖精に突っ込んだ。
夜になってカレーの残りを食べて、花火をした。
「私は線香花火が一番好き」
儚くて綺麗だから。
「一番怖くないですね」
「あんまり勢いよく火花散るやつとかはビビるわ」
チキンハートゆえに。
『ねずみ花火は追いかけられてびっくりします!』
「そうね、あれはびっくりするし、小さい子のいる家では危ないからやらない方がいいよね」
少年には人気みたいなんだけど。
『私も線香花火が一番いいと思います!』
などと会話しつつも、夏の夜らしく私達は花火を楽しんだ。
明日はケンタローおじさんが大型スーパーに車でつれてってくれるらしいから、ありがたく乗せてってもらうことにした。
買い出しである。
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