第8話 深夜のお仕事
行きと同じように私はひなたのチャリの後ろに乗って帰宅した。
帰り道でも浴衣の若い男女が楽しそうにしているのを見かけ、なかなか絵になるなどと思った。
そして帰宅後はシャワーを浴びてから、戦利品の食物をレンチンして温め直してから居間のテーブルに並べた。
コロポックルのリーフも交えてたこ焼き、焼き鳥などをシェアして食べた。
祭りでゲットしたメダカはとりあえず井戸水をバケツに入れて、水合わせをしてからその中に入れた。
今のところ元気にしててよかった。
「白と青っぽい子の後に掬ったこの金色のメダカも綺麗ね、ラメが入ってる」
「この子も増やしたいですね、金色だし、増やせたら金運アップするかも!」
「あはは、とりまもう夜だし、池の作業は後日ね」
「ハーイ」
そしてゲットしたオレンジと白のヨーヨーを洗面器の中に入れ、さらに水を注入。
ヨーヨーを水にプカプカ浮かべ、それを眺めながらラムネやビールを枝豆をつまみにして飲んで、爽やかに夏の夜を楽しんだ。
間食をしたので夕飯は簡単に湯豆腐にして食べた。
* * *
そして深夜。
私の本業、漫画の作業中にペン入れ作業も進めたので。
『いよいよ私の出番が来ましたね』
小さな体では棒っぽい方が持ちやすいかと、リーフにはノック式消しゴムを持たせてみた。
「リーフ、無理しなくていいからね」
『ただ飯喰らいにはなりませんので!』
「リーフちゃん、がんばえー」
『ふんぬう!!』
コロポックル、気合の消しゴムかけである、
私が念のためにと紙を押さえる重しを置いてやると、わりとプライドが高いのかせっせと消しゴムかけをしてくれてる。
歩みは遅くとも、必死にやってくれてるのは伝わる。
ひなたもリーフの作業の様子が気になるのか、わざわざ私の仕事部屋に来て、スマホでポチポチしつつ自分の小説を書いている。
「ひなたの今度の小説の投稿作はどんなの〜?」
ひなたの小説作業は今のとこは出版社から依頼を請けて書くわけではなく、どこかの小説サイトに投稿し、ランキング上位に乗ったりして、運がよければ書籍化しませんか? と打診が来たりするのを待つ感じだ。
たまに好みの賞にも応募するみたいだけど、書籍化打診は過去に数件あり、実際に書籍化したのが今のところ四冊。
賞に受かって出した書籍が2冊である。
あとは投稿作のインセンティブが小説の売り上げ。
でもそれだけだとあまり稼げないので、たまに農作業と子守のアルバイトもしてる。
「新作は異世界を楽しく旅する漫遊記的なやつです、世界を巡って各地の美味しいものを食べたりとか」
「へー、主人公は女の子?」
「おっさんです」
「おじさんかー、女の子の方がウケない?」
「どうでしょう? 投稿するサイトにもよるかもですし、私、かわいい女の子も好きですがイケオジも好きなんでコケてもまあ、その時はその時です」
「ふーん、なるほどイケオジもいいかもね」
などと言う話をたまにしつつ、作業を進め、二時間ほど作業してから寝ることにした。
「よし、そろそろ寝よう、リーフ、ひなた」
「はい、お疲れ様でーす、おやすみなさい」
『お疲れ様ですぅ』
リーフの為に用意した寝床はおばあちゃんが編んだカゴにふわふわタオルを敷いたもの。
ベッドの中で目を閉じると、まだ昼間の清涼な風鈴の子が聴こえるようだった。
あの祭りの光景を思い深べていると……いつの間にか眠りに落ちていた。
* * *
翌朝。
早朝から日向は庭の池掃除を頑張っていた。
リーフも何故かその作業を見守っていた。
朝のが涼しいから早くから頑張ってるのね。
メダカのためにせっせと。
私はシャワーを浴びてから朝ご飯を作る。
メインはベーコンエッグで白いごはんと……。
「サラダは辛味のあるクレソンベースでいこうかな」
サラダの具材は、クレソンと豆腐と玉ねぎとツナとトマトを入れて、醤油とオリーブオイルとにんにくを混ぜたソースでいただくことにした。
さて、庭先で頑張る二人を呼んで一緒に朝ご飯にしましょう。
「ご飯できたよ〜!」
「『はーい!!』」
「このサラダ色々入ってて凝ってますね」
「たいしたことはしてないよ、切って混ぜただけ」
「私なら材料二種くらいでテキトーにでいきそうですもん。あ、美味しい!」
「にんにくも使ったし、りんごジュースもあるから臭い消しに飲むといいかも」
「あざす!」
『うまうまですぅ』
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