一見やばそうなクッキング 2人台本 不問2

サイ

第1話





粟田:はー、暇だな…つまんねー番組ばっか…。面白い番組ないかなぁ。やっぱ時代は動画か…?


粟田:もういいや…画面見るのもだるいしテレビ切るのもだるい。ソシャゲでもするか。



包平:包平(かねひら)先生の、簡単クッキング〜!!


包平:このコーナーでは私、包平が、一般的ではあるけれど今更作り方を聞けないようなお料理の作り方を、一緒に確認しながら作っていきます!



粟田:料理コーナーか。最近自炊してないな…。



包平:今日のテーマは…内緒です!みなさん予想しながら見てくださいね!



粟田:…いや、何作るかわからないまま見る料理コーナーってある?



包平:ヒントは使用する食材一覧にあります!それでは食材一覧をお見せしまーす!



粟田:くそっ、レイドボス強すぎだろ…ちらっとだけでもテレビの画面を…あぁ、もう一覧消えた…。早くないか…?



包平:今日はちょっと前のコーナーが押していましたので、各自一時停止機能を使って確認してくださいね!



粟田:それ一覧出す前に言えよ。


粟田:くっそ…リベンジだリベンジ。もっかいレイド戦やるぞ。



包平:それではお料理始めていきたいと思います!まずは…


包平:カケの白殻をボウルに割り入れます。



粟田:…なんて?



包平:殻がボウルに入らないよう、気をつけて入れましょうねー♪



粟田:…いやただの卵じゃねえか!なんだカケって!



包平:古くからニワトリさんは家で飼われる鶏(とり)であったことから、カケと呼ばれることもあったそうですねー。



粟田:え、こっちの声聞こえてんのか…?



包平:卵のどろっと感がなくなるまでしっかり混ぜましょうね。



粟田:卵って言ったよ?!最初から卵って言えばよかったんじゃないの?!



包平:続いて冷蔵庫から、偶蹄獣(ぐうていじゅう)の純白の血を出してきて、ここに注ぎ入れましょう。



粟田:…いや牛乳だろうがそれ!



包平:みなさんご存知でしたか?お乳と言えば白色を思い浮かべますが、これ実は血からできているのです。


包平:授乳中にアルコールや喫煙がいけないとされているのは、血液中のアルコールやニコチンがお乳を通して赤ちゃんの体に入ってしまうからなんですねー。



粟田:地味にいい勉強になるな、このコーナー…。



包平:そうしましたら、こちらは一度置いておきまして、もう一つ、ボウルとふるいを用意します。



粟田:ふるい…ああ、粉か何か入れるのか。



包平:こちら、順番は構いませんので、ざっとふるいにかけてボウルに入れちゃいましょう。


包平:まず、白い角結晶。



粟田:…なにそれ。



包平:やっぱりスイーツといえば欠かせませんよね!たっぷり入れたいところですが、今日はぐっと堪えて…。



粟田:…砂糖だな。てかスイーツ作ってたんだ。



包平:それから、炭酸水素ナトリウムも入れます。



粟田:急に化学的なもの出てきたな?!



包平:最近これを使うと汚れが落ちるとかで、お掃除特集とかでよく聞きますよねー!



粟田:…いや重曹かよ!まぎらわしい名前にすんなって!食べられるものなのかどうか一瞬不安になったわ!



包平:無ければベーキングパウダーで大丈夫でーす。



粟田:だから最初からそう言えって!!



包平:そしてもう一つ、



粟田:ツッコミどころ多くて疲れてきたな…次はどんなけったいな名前のやつが出てくるんだ…?



包平:草の実の粉を入れまーす。



粟田:…小麦粉か。てかちょっと名前考えるの疲れてきてない?



包平:小麦粉について色々調べたんですけど、ちょっとどうひねっていいかわからなかったんですよね。



粟田:ひねった名前にしてる自覚あったんだな。というか無駄な努力してるな…。



包平:粉類を混ぜ合わせましたら、先ほどのものをボウルに一緒に入れて、さらに混ぜ合わせます!



粟田:しかし…だいたい作るものわかってきたな。耳で聞くだけでも案外わかるものだな…。



包平:次にフライパンを用意します。



粟田:予想では、ここでサラダ油を敷いてさっきの生地を焼いていくはずだが…サラダ油はどう言い換えるつもりなんだ…?



包平:そして、フライパンに、



粟田:……。



包平:サラダ油を敷きます。



粟田:いやまんまかよ!ひねるの疲れすぎだろ!



包平:サラダ油について調べていたら寝落ちしてしまったんですよねー。



粟田:いや、最初から普通に言えばいいんだって。



包平:あとはフライパンを熱し、さきほど混ぜ合わせたものを焼くだけ!



粟田:えらく端折(はしょ)るなぁ。



包平:火加減はお好みでどうぞ!



粟田:たぶん料理コーナー見てる人、そういうところが知りたいと思うんだけど…。



包平:今日は焼き上がったものを既にご用意しています。そこに…!



粟田:なんだか嬉しそうだな。



包平:撹拌(かくはん)されし偶蹄獣の純白の血と!



粟田:使いまわせるから楽だったんだな。



包平:琥珀色の蜜をかけます!



粟田:バターとハチミツな。



包平:ハチミツのネーミングは自信作です…!



粟田:よかったな…。



包平:これで完成です!えっと…



粟田:あ、さては料理名考えてなかったな。



包平:えっとー…あのー…。



粟田:さぁ、どうするんだ。



包平:あ…熱き…熱きぃ……。



粟田:……。



包平:お、お時間になってしまいました!それではみなさんまた来週ー!!



粟田:逃げんなよ!!!






粟田:…毎週録画設定しとこ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

一見やばそうなクッキング 2人台本 不問2 サイ @tailed-tit

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る