第2話~シスター・アンジェ~

 教会の奥、大陸の名前でもある創世神バレンシアの象の前で、シスター・アンジェは法衣の胸元を広げ、自らの指でその胸を揉みしだいていた。


「あぁ、神よ。私の淫らな欲望をお許しください」


 懺悔の言葉を口にしながらも神像に向かって足を広げ、右手で右の乳首を摘まんでは指を動かす。肌は上気して赤みをおび、広げられた足の間には淫らな汁が滲んでいた。世界のあらゆる生命を創ったと言われるバレンシア神は燃えるように逆立った髪をした、筋骨隆々の雄々しき姿をした男神である。その神をオカズにして女は自慰行為に耽っていた。


「とんだシスターもいたもんだな。しかし、こりゃあ美味そうな力を感じるぜ。何とか、この魔力を奪えねえものか……。よし、やってみるか」


 魔王蝸牛は天井を這うと、自慰を続けるシスターの真上まで移動した。


「この辺りだな」


 狙うは、シスターが自ら弄んでいるのとは逆の乳房だ。狙いをすますと、殻の中に身を収め、天井からシスターの胸元にダイブした。


「ひゃっ! な、なに!」


 柔らかな豊丘に着地する瞬間に身を飛び出させると、魔王蝸牛は先端の桃色の突起、アンジェの乳首に身を這わせた。ぬるっとした感触がアンジェの肉体に電気が走るような刺激を与えた。


「あぁ!あぁぁん!」


 甲高い声を出して、アンジェの身体がピクンと跳ねた。それは、今まで自分で弄るばかりだった彼女にとって、未知の感触だった。


「な、なに、これぇ」


 法衣の中に入り込んだ異物を引き剝がそうと、アンジェは手を伸ばした。しかし、歴戦の強者である魔王は機先を制した。


「《振動(バイブレーション)》」 


 それは、武器を高速で振動させる事で破壊力を上げる攻撃系の補助魔法だ。剣に使用することで、鋼鉄の鎧をも引き裂く事ができる。その魔法を、魔王は自らの身体に使用したのだ。


「な、なにこれ、ぶるぶるするぅ!」


 アンジェは胸元を抑え、その刺激に耐えようとした。


「どーだ、我が魔法は!」


 長年の勘で魔王にはわかっていた。この女が絶頂を迎えるのは近いと。しかし、未知の快楽と押し寄せてくる絶頂感をアンジェは怖れた。


「こ、これ以上は、ダメ!」


 アンジェは手を挿し込み、魔王の身体を引き剥がした。


「くぅ、もう少しのところを」


 危険を感じた魔王は、すぐに殻の中に引っ込んだ。アンジェの手の中で、魔王蝸牛はぶるぶると震えていた。その様子を不思議そうに見つめる。


「振るえる蝸牛なんて……新種かな?」

「その手を離せ! くそぉ、小さき器の悲しさよ」


 シスターが無益な殺生をするとは考えにくかったが、窓から捨てられるくらいならともかく、ここで潰されてしまうような事があれば、残った魔力ではどうにもできない。魔王は絶体絶命のピンチを迎えていた。

 アンジェは周囲をキョロキョロを見まわした。


「やめろぉ! お前シスターだろ。無駄な殺生はするな!」


 蝸牛の言葉がシスターに届くわけはなかった。魔王が覚悟を決めた時、

アンジェは人の気配がないのを確認すると、魔王の身体を脚の間にそっと当てた。


「助かったぁ。よし、お望み通りに」


 魔王は残された魔力を使うと、《振動(バイブレーション)》の魔法を再発動させる。


「んっ、凄い。やっぱり、これ、いい!」

 アンジェは震える魔王の身体を股間に擦り付け、振動による快楽に身を委ねた。


「あぁぁ、ダメぇ。なんか、身体の奥から、なんかきちゃう」

「俺の魔力が尽きるのが先か、この女が絶頂を迎えるのが先か」

「んんっ、いい。ぶるぶるくるぅ」


 最も気持ちのいい一点を探り当てたアンジェは、魔王の身体をその突起に押し当てた。


「この魔王様をなめるなぁ!」


 最後の一滴まで魔力を使い果たす勢いで、振動を増幅させる。


「あっ、くる、きちゃうぅぅ! あぁぁぁ!」


 アンジェの腰が、ビクンと跳ね、天を仰ぎながら絶頂を迎える。


「きたぁぁ!」


 絶頂と共に放出された魔力を魔王はその小さな身体で吸収した。蝸牛の身体ではほんの一部を取り込めるだけだが、それでも、アンジェから溢れ出る魔力の奔流を受け魔王蝸牛の身体が光る。器の容量を上回るほどの力が身体に満ちてくる。


「この女、中々の力の持ち主だ。漏れ出てくるだけでも、この量とは。だが、このままじゃ器が持たねえ。よし、それなら!」


 魔王は、殻の中から、そのぬるぬるした身体を出した。


「《触手変化(テンタクルス)》」


 魔王蝸牛の先端から二本の触手が生えてくる。自らの身体の一部を触手化するこの魔法は魔王の得意魔法であり、主に魔力を吸収する為に使用する。


「喜べ女、お前を我が眷属にしてやる」


 二本の小さな触手は、ショーツを貫くと、その肉芽に直接まとわりついた。


「えっ、な、なに?」


 一度絶頂を迎え、半ば放心状態にあったアンジェにとって、その刺激は

強烈だった。最も敏感な箇所を、魔王蝸牛の触手がくりくりと弄ぶ。


「あぁ!やだ、そこは、ダメぇ!」


 自分の身体に、何が起きているのかアンジェには全く理解できなかった。というより、考えることさえできなかった。小指ほどしかない、小さな肉芽から快楽が湧き上がり、身体全体を支配していた。

 魔王の触手がまとわりつく、その快楽の根源を締め付ける。


「あぁぁ、イク、また、いっちゃうぅぅ!」


 すぐにアンジェは二度目の絶頂を迎えた。魔王は溢れてくる魔力を触手で吸収しながら、その魔力と自らの一部を使用し生成した《眷属の萌芽》をアンジェの胎内に解き放った。


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