第5話 解決への鍵は記憶に居ない

「メッセージの件、健から聞いたんだ。詳しく教えてくれない?」

真人は、

「この家には固定電話は無いよ。玄関にダンボールが積んであったから予想は着いているかもしれないけど、僕達は最近引っ越したんだ。あの件で気味が悪いから誰にもバレないようにインターネットが通っていない唯一の家を探して越してきたんだよね。」と言った。

「毎日鳴るなんて流石にうるさいよね。引っ越しは仕方ないと思うよ。そうだ、」

そして私は、バッグから1冊のノートを取り出した。これに、疑問に思っていたことをリスト化して箇条書きしている。

「まとめてきたんだ。まず1つ目は"ひいおじいちゃんとはどんな関係だったのか"、どうかな?」

「過去について話すね。僕は以前ひいおじいちゃんとはあまり仲が良くなかったんだよね。というのも、ひいおじいちゃんは僕を避けているようにも思えて、顔も見たくないような態度をとっていたんだ。そうして戦争に行ったっきり会話を交わさないまま亡くなったんだ。」

そして、彼の曽祖父を庇うような口調で言った。

「でも、昔はとっても優しかったんだ。おもちゃを沢山買ってくれて、小学校のテストで満点を取ると必ずアイスを買ってきてくれるんだ。年を重ねるごとに段々と対応が冷たくなってきて、いつしか仲良く話すことを諦めていたんだ。」

なら何故ノートに書かれた電話番号から掛かってくるのか、まるで呪いのように。

「ありがとう、次の質問に移るね。"心当たりはあるのか"、ありそうかな?」

「いや、ずっと考えてきたんだけど一向に見当もつかなくて、、、」

3つ目の質問に移ろうとしたその時、私の携帯が音を鳴らした。特に思い当たる人は居なかったので軽く確認するつもりでチラッとみると、そこには直樹の文字が書かれていた。

「直樹:今から会いたいんですが、何処に居ますか?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る