第2話
僕は三日後、休み時間の教室でスマホをいじっていると不意に近くで話している姫のグループの話題が聞こえてきた。
「ねえねえ、このカフェかわいくない?!」
「かわいい!このお店どこにあるのかな?」
飲食店の話題か、どうせ県外の映えスポットとか繁華街にちらほらあるところだよな
うちもそんな風に有名にならないかな~
そんなはかない期待も持ちながら僕はカバンを背負ってバイト先へ向かった。
「こんにちは~」
そう言って店に入ると店長がどたどたと駆け込んできた。
「海馬君!なんか言ってたようにちょっと話題になってるよ」
「何がですか、主語を言ってもらわないと」
「SNSにあげていたあの写真だよ」
そういって店長はスマホの画面を見せてきた。
するとそこにはいつもの何倍もの閲覧数が出ていた
「だから、これからいそがしくなるぞ~!」
そう言って店長はすこし嬉しそうに厨房に戻っていった
それから普段より多くのお客さんが入ってきていつもより多く料理をしたりして人が少なくなってやっと休むことができた。
「おつかれ海馬君」
「店長もお疲れ様ですやっとひと段落しましたね」
「そうだね、写真の影響かいつもより高校生が多くなってたよねこれも海馬君のおかげだ」
「それならありがたいです」
そんな雑談をしているとまたお客さんが入ってきた。
「いらっしゃいませ~」
入ってきた人を見ると私服姿の暁月姉妹
(もしかして、教室で話していたのはここのことだったのか!?)
そう言っていたこともわかり少し上機嫌で注文を取りに行った。
まあ、さっきも同じクラスの人にもばれなかったから大丈夫だろうと注文を取りに来ると暁月妹のほうがなぜか僕を指さして手を振った。
「ねえねえ、君間違ってたら悪いんだけどうちのクラスの名前は確か、、、篠原君だったよね!」
そう言われびっくりして固まってしまった。
「そうですけど、よくわかりましたね、ほかの人は気づかなかったのに」
「えっほかの人って?」
「同じクラスの女子とかですよ制服と顔とかですぐわかりましたよ」
「ほら~お姉ちゃん~みんな制服で来てるじゃん」
そういうと千早さんの顔がいつもきりっとしているのが少し申し訳なさそうにしているのが分かった
「ごめん、舞、ほんとは大勢で来るのがいやだったから時間をずらしたの」
「なんだ、それなら先に言ってよ私も考えれたから」
二人は僕がいる前でも二人の世界に入ってしまうほど仲が良かった。
さすが姉妹といったところだ。
すると舞さんのほうが慌てたようにメニューを開き始めた。
「えっと!注文ですよね待たせてしまってすみません!」
「いえいえ、時間はあるので大丈夫ですよ」
そう言って落ち着かせていると千早さんがスマホの画面を見せてきた。
「多分、妹が頼みたいのはこの猫のコーヒーだからそれを二つお願いします」
千早さんがそういうと舞さんがコクコクと頷いていた。
「わかりました、コーヒーの甘さはどれくらいで」
「私は砂糖入れるけど少な目で!お姉ちゃんは?」
「私は砂糖多めでそれと、、」
「それと、、なんでしょう?」
「少し冷ましてから持ってきてくれないかしら」
「ああ、かしこまりました、
猫のコーヒー二つ、
砂糖少なめと砂糖多めで、冷ましてからですね、少々お待ちください」
そう言って僕は厨房でコーヒーの準備をし始めた。
少し遅い厨房の戻りに気になった店長が話しかけてきた。
「なになに、あの可愛い子たちと仲いいの?」
「いや、ただ単に向こうが知ってくれていただけですよ、クラスが同じとかしか関係はないです」
「いや結構話してたなと思って」
「はいはい、この時間も待たせてるんですから早く作りますよ」
「これじゃどっちが店長が分からないね」
「それを店長本人が言っちゃだめですよ」
「わかってるよ」
そう言って僕は慣れた手つきで猫のイラストを描き上げた。
「こちらが、猫のコーヒーとなります、右が砂糖少な目、左が砂糖多めですごゆっくりどうぞ」
そう言ってテーブルにおくと猫のコーヒーを見た舞さんが目を輝かせていたのがわかった。
「ねえねえ!この写真って誰が撮ってるの?」
戻ろうとしていたところを舞さんに呼び止められた。
「この写真は一応僕がとってますけど」
「ほんと!この猫のコーヒーとかめっちゃ可愛いよ!」
「それはありがとうございます」
「じゃあお姉ちゃんも写真撮ってのもう!」
「ええそうね、飲むのがもったいないくらい可愛いいわ」
ちらっとカウンターに戻って席を見ていると初めて千早さんの笑った顔を見たかもしれない。
「うん、コーヒーもおしいいそれに家で入れるのとはまた違うよね」
「そうだね、さっきカウンターに豆とか置いてあったから買って行こうか」
「うん!楽しみだな〜」
そう言って舞さんは湯気がででいるコーヒーをフーフーと息を吹きかけて冷ましながら飲んでいた。
「うん!美味しい!淹れ方とかにコツとかあるのかな?」
「多分、あるんじゃない?家じゃこんなに香りは広がらないし」
「だね」
そう言ってまたコーヒーをすすっていた。
窓際でコーヒーを飲んでいる2人を見ると
とても様になっていて見惚れてしまっていた。
それから少し経ち、暁月姉妹はコーヒー豆を買って店を後にした。
店長は今日の売り上げを確認していると驚いたように目を丸くしていた。
「海馬くん、今日の売り上げいつもの5倍くらいあるんだけど」
「それは良かったですね、少しは貢献できて嬉しいです」
「いやいや、これは君のおかげだから」
そう言って店長は褒めてくれた。
僕は帰る前にまたスイーツの写真を撮った。
今回はケーキとコーヒーのセットの写真を撮った。
少しは人気が出たと思うから少しはただいてくれるといいな。
そんなことを思いながら僕は帰路についた。
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