救出〜???side〜
産まれながらにして、前世の記憶というものがあった。日本という国で女子大生として生きていたはずだったんだけも、事後で死んで、こっちに転生したみたい。
この世界がどんな世界なのか判明したのは七歳の時。
出会ってしまったのだ。攻略対象に。
そう。この世界。前世でやった乙女ゲームの世界だった。しかもヒロイン転生。確かに顔立ち整ってんなーとか、なんか見た事あるなー、って思ったことはあった。けど、攻略対象の男を見て初めてここがゲームの世界だと理解した。
私は……別に嬉しくは無かった。
だってイケメンに興味は無いし。ここは良くも悪くも現実だ。私の行動しだいで攻略対象と結ばれないエンドなんて大量にある。
まあ、顔はいいし、友達くらいにはなっておこうかなぁ。
それから私はすくすくと成長して、ついに乙女ゲーム本番の魔法学園へと足を踏み入れた。学園自体は結構楽しくて、普通に楽しんでた。
ここがやっぱりゲームとは違うんだなと感じたのは、ゲームではなかった展開などが多くある事だ。私の転生によって生じたのかどうかは定かでは無いけど、多分違うはず。
そして、最大の違いは謎の危険団体がいる事だ。世界の破滅、管理を目的とした団体。
終末の七戒
この団体が猛威を振るってるようで、私も学園の生徒として、何度か施設を襲撃し、治安維持に務めている。
これでもヒロインだからね。普通に強いから、この学園でもトップ層なのだよ。
私はヒロインらしく稀有な光属性の魔法を扱える。その力を駆使して幾度か施設を潰してきた。
そして、今日も施設を発見したとの報告を受けて、攻略対象たちと施設の襲撃に来ていた。ここは、非常に巧妙に隠されており、相手団体の主要人物や、実験体が居るのでは……と言われている。気を引き締めて進む。
そして、いざ施設に突入……って所で膨大な魔力が爆発するような、危険な状態を感知。
……ここまで近寄って初めて、こんなにも荒れ狂った魔力を感知するなんて。ステルス性能が高すぎる。
それにこれは……神力?
中で何かが起こっている事は明白だった。直ぐに突入し、魔力の中心地へと向かう。警備が非常に厳重で苦戦したけれど何とか最奥の部屋までたどり着いた。
何、この神力……
圧倒的なまでの力を感じる。
それでも意を決して扉を開け放つ。
その部屋は大量の魔法陣が書かれており、中央に少女が居た。そして壁際には叩きつけられたような状態の職員がいた。
多分これが主要人物だ。
こいつの捕縛を攻略対象立ちに任せて、私は少女の方に駆け出す。近づくと分かる……めっちゃかわいい。私は美少女の味方なのだ。
「大丈夫ですか!」
そう声をかけながら近寄ると、少女は倒れてしまった。
この子が実験体なのだろう。すぐに保護を開始する。少しすると攻略対象たちもこちらに来る。
「その少女から膨大な神力を感じる」
「そうだね…私も感じてるんだけど…何だろう」
「少し、いいかい?」
そう言って攻略対象の一人、伊瀬くんは魔力視を使って調べ始めた。
「ッ!……これは、酷い。想像もつかないほどの魔力を無理やり身体に通されている。死よりも辛い激痛だっただろうに……恐らく周りに置いてある七つの魔力宝石から流し込まれたものだろう……それに、この子の身には恐らくだが、竜神が宿っている。左目に魔法陣が描かれている。これが証拠何よりの証拠だ。大方、魔力を流して無理やり召喚を行ったんだろう」
そんな、酷いことを…!無意識に握る手に力が入る。こんな可愛い子になんて仕打ちを…!!
絶対にコイツだけは許さない…。
拘束された職員を睨みつける。
マジデコロス
そんなことよりも、この子についてだ。
みんなと話し合い私の部屋で保護することにした。決して下心はない。
部屋に着いたらまず身体を拭いてあげる。そのために服をぬがした。本当に下心は無い。
……ごめん。本当は少しだけある。
でも、そんな事よりも目に付く所があった。お腹や背中。腕、足にも蹴られたような痣がある。
……絶対にアイツだ……暴力まで振るってやがった!!
丁寧に体を拭いてあげる。最初の雑念はもはや無かった。
服はこの前間違えて買ったオーバーサイズのシャツを着せておく。服が無いんだ、ごめんよ。
ベットに寝かせて頭を撫でる。
……一体どれだけの事をされてきたのだろう。
そんな怒りを抱いていると、この子が身に付けていた指輪が光り出した。
……何?
一応臨戦態勢をとる。
光の中から出てきたのは……美少女だった。
だけど、その身に纏う神力で分かる。コイツは竜神だ。
「そう警戒しないでくださいな。初めまして、私は竜神のラストと申します」
は?ラスト……?
「7柱の最高神が一人……ラスト、またの名をアスモデウス……」
「ふふ、そう呼ばれることもありますね」
アスモデウス……
この世界の最高神の7柱は日本で言う七つの大罪で構成されている。その中の色欲、ラスト。
この世界最強の一角。世界唯一の竜種。
「なぜ、そんな奴がここに……」
「それは、この子に召喚されたからです。ちょうど暇してたので召喚に応じたんです。そうしたら、こんなにも魂が綺麗で可愛らしい子が居たので、ついリンクまで済ませちゃったわけです」
まじか……最強の一角を召喚して、あまつさえ、その身に宿すなんて……
「それはそうと、この子を裸にしたり、勝手に撫でたり、やりたい放題してましたね?」
「は?いや、それは仕方ないことで」
「下心……ありましたよね?言っておきますがこの子は私のものです。手出しは許しません」
「はぁ?私だって狙ってるし!勝手なこと言わないで。と言うか、本人の意思も確認せずに私のものだ〜とかやめた方がいいよ?」
「「ぐぬぬぬ」」
「はぁ、とにかく最終的に選ばれるのは私なのですから、大人しく身を引いておきなさい」
そう言いたいことだけ言って消えてしまった。なんなの!?竜神だからって横暴じゃない?私だってこんなに可愛い子手放す気はサラサラないし。絶対に負けない
それから、この子が目を覚ますのは少しあとだった。
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