第21話 新たな道と再会
卒業記念コンサートが終わり、ひなたとカラオケサークルのメンバーたちはそれぞれの新しい生活に歩みを進めた。大学、専門学校、就職と、メンバーたちはそれぞれ異なる道を選んだが、彼らの心には共に過ごした日々の思い出と、音楽を通じて築いた強い絆が残っていた。
ひなたは音楽学校に進学し、作曲と演奏技術を更に深める日々を送っていた。大学で新しい友人との出会いもあり、彼の音楽の世界はさらに広がっていった。しかし、時折、カラオケサークルでのあの暖かい時間を懐かしく思い出すことがあった。
一方、あすかは地元の企業に就職し、忙しいながらも充実した毎日を送っていた。たろうは情報技術を学ぶために都市部の大学に進学し、さくらは美術に情熱を注ぎながら、地元の美術学校で学んでいた。
ある春の日、ひなたは帰省する機会を得て、かずみ先生と連絡を取った後、カラオケサークルのメンバーたちを再び集めることにした。久しぶりの再会を赤穂公園で行うことになり、桜の下での再会となった。
「みんな、久しぶり!」ひなたが笑顔で叫んだ。
「ひなた!本当に久しぶりだね!」あすかが駆け寄って来て、抱擁を交わした。
「みんな、それぞれどうしてる?」たろうが興味深く尋ねた。
一人ずつが近況を報告し、それぞれが経験した新しい挑戦や成功、時には失敗についても話した。彼らは互いの成長を喜び、また支え合うことの大切さを再確認した。
再会の場で、ひなたは「みんなでまた一緒に歌いたい」と提案し、すぐに小さな即席コンサートが始まった。ひなたは自身が学校で学んだ新しい曲を披露し、あすか、たろう、さくらも自分たちが覚えた曲を歌った。
音楽が流れる中、公園に集まった他の人々もその場の雰囲気に引き込まれ、一緒に楽しむ姿が見られた。ひなたたちのパフォーマンスは、再び彼らを一つにし、彼らの未来への希望と喜びを象徴するものとなった。
「音楽って本当にすごいね。離れていても、こうしてまた一緒に歌えるんだから。」さくらが感慨深く言った。
その日の再会は、彼らにとって新たな出発点となり、どんなに時間が経っても、音楽を通じて再びつながることができるという確信を持たせてくれた。それぞれの道を歩みながらも、心はいつも一緒であることを彼らは感じていた。
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