第20話 卒業の調べ

春が再び赤穂市を訪れ、桜の花が街を彩り始める中、ひなたとカラオケサークルのメンバーたちにとって大きな節目が近づいていた。彼らは高校の最後の年を迎え、卒業を控えていた。


「もうすぐ卒業だね。信じられないよ…」ひなたがある日、サークルのメンバーと集まった際に感慨深げに言った。


「本当にね。でも、最後にみんなで何か特別なことをしたい。」さくらが提案した。


「そうだね、卒業記念コンサートをしよう!」あすかが目を輝かせて言った。「それぞれの新しいスタートを祝って、心に残るパフォーマンスをしよう。」


このアイデアに皆が賛同し、かずみ先生も全力でサポートすることを約束した。ひなたたちは、卒業記念コンサート「新たな始まりへの調べ」の準備を始めた。


ひなたは、これまでの学生生活とカラオケサークルでの経験を振り返りながら、感謝と未来への期待を込めた新しい曲を作曲した。その曲は、変わりゆく季節の中での別れと出会い、そして成長の美しさを表現していた。


「この曲は、僕たちがこれまで歩んできた道と、これから進む新しい道を象徴しているんだ。」ひなたがメンバーに曲を初めて聞かせたとき、その深い歌詞と美しいメロディが彼らの心に深く響いた。


コンサートの日、学校の体育館は地元のコミュニティ、友人、家族でいっぱいになった。ステージ上で、ひなたたちは一人ずつ、自分たちの成長を象徴する曲を歌い上げた。


ひなたのソロパフォーマンスの際、彼は「新たな始まりへの調べ」を情感豊かに歌った。歌が終わると、会場からは大きな拍手とともに歓声が上がった。感動した観客からは涙を拭う人々も見られ、ひなた自身も舞台上で感極まっていた。


コンサートの最後に、かずみ先生がステージに上がり、「ひなたたちがこれからも歌を通じて多くの人々に影響を与え、それぞれの道を輝かせていくことを願っています。今日のような美しい瞬間を一緒に共有できて幸せです。」と述べた。


卒業記念コンサートは、ひなたたちにとって新たな章の始まりを告げる感動的なイベントとなり、彼らの心に深く刻まれた。カラオケサークルで築いた絆は、彼らがそれぞれの未来へと歩んでいく中で、永遠に続くものとなった。

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