第19話 想い出を繋ぐメロディ

満月のコンサート後、カラオケサークルのメンバーたちはその夜の成功を心に刻みながら、次のプロジェクトに向けて再び集まった。ひなたは、次のステージで何か新しい形を試みたいと考えていた。


「みんなに提案があるんだ。次のイベントで、僕たちの家族や友人から影響を受けた歌を集めて、それぞれの想い出の曲を歌ってみたい。」ひなたがサークルのミーティングで話し始めた。


「それ、すごくいいアイデアだね!」あすかが目を輝かせて言った。「家族や大切な人との思い出が詰まった歌なら、より心に響くはず。」


「じゃあ、次のイベントは『想い出メロディーズ』と題して、親しい人との繋がりを表現することにしよう。」さくらが提案した。


たろうは技術的なサポートを申し出て、「僕が特別なビデオを編集して、歌の背景に流すよ。それぞれの曲にちなんだ映像があれば、さらに感動的になるはずだよ」と加えた。


数週間の準備とリハーサルを経て、イベントは地元の文化センターで開催された。ステージの背後には、たろうが作成した映像が流れ、歌ごとにメンバーの家族や友人との写真や短いクリップが映し出された。


ひなたは、亡くなった祖父と釣りに行った日のことを歌にした。祖父が教えてくれた古い漁師歌をアレンジし、その優しいメロディと心温まる歌詞が観客に静かな感動を呼んだ。スクリーンには祖父と一緒に川辺で笑顔で過ごすひなたの幼い日の写真が映し出され、多くの観客が涙ぐんだ。


あすかは、彼女が幼少期に母親と一緒に歌った童謡を披露した。その歌声は清楚で、母と手をつなぎ公園を歩く映像とともに、会場に優しい雰囲気を広げた。


たろうとさくらも、それぞれに意味深い曲を歌い、それぞれの背後には、彼らにとって大切な人々の笑顔が映された。


イベントの終わりに、かずみ先生がステージに上がり、「今日ここで共有された想い出のメロディーは、私たち全員にとってかけがえのない宝物です。これからも、心を込めた歌を通じて、人々の心に光を灯し続けましょう。」と締めくくった。


その夜、ひなたたちは各自の家族や友人との絆を再確認し、音楽を通じてさらに深いつながりを築いていくことを誓った。

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