第18話 満月のコンサート

夏の夕暮れのライブが成功を収めた後、カラオケサークルはその勢いを維持し、秋に向けて更なる計画を立て始めた。かずみ先生からの提案で、満月の夜に特別なコンサートを行うことになった。


「満月の夜に、音楽と自然が一体となるようなコンサートをしましょう。それにちなんだ歌や詩を集めて、ロマンティックな夜を演出するのはどうかしら?」かずみ先生がアイデアを出した。


このユニークなコンセプトに、メンバー全員が興奮し、計画を進めることに熱心だった。ひなたは、満月と星々をテーマにした新しい曲を作ることに決め、深夜の静けさの中でインスピレーションを得るために、しばしば夜遅くまでピアノを弾いていた。


「この曲は、月の美しさと夜の神秘を表現してみたんだ。」ひなたが新しい曲「月光の下で」をメンバーに初披露したとき、そのメロディと歌詞の美しさに全員が魅了された。


コンサートの日、会場となったのは市の展望公園で、高台に位置しており、満月を背景に素晴らしいステージが設営された。公園は提灯と小さなライトで飾られ、幻想的な雰囲気を演出していた。


イベントが始まると、多くの地元の人々や観光客が集まり、ひなたたちは一曲ごとに心を込めて歌い上げた。満月の光の下で、その声はさらに響き渡り、聴衆を魅了した。


「月光の下で」というひなたの曲が披露されるとき、会場は一層静かになり、彼の歌声だけがクリアに夜空に響いた。曲が終わると、感動した聴衆からは暖かい拍手が沸き起こり、何人かは感極まって涙を流していた。


コンサートの最後に、かずみ先生がステージに上がり、「今夜は、月の美しさを皆さんと共有できて本当に幸せです。ひなたたちの歌が、この美しい夜をさらに特別なものにしてくれました。ありがとうございます」と感謝の言葉を述べた。


その夜、カラオケサークルのメンバーたちは新たな成果を達成した喜びと、共に過ごした時間の価値を改めて感じながら、星空の下で話し合った。彼らの音楽が、これからも多くの人々の心に光を灯し続けることを願いながら。

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