第13話 心の声を歌にのせて
冬祭りの成功がひなたたちの自信を大いに高めた。その日以来、カラオケサークルは地元コミュニティで注目を浴びるようになり、ひなたの心には新たな目標が生まれていた。
「次はどうする?さらに大きなステージに挑戦してみたいな。」ひなたがある日のサークルミーティングで提案した。
「それ、面白そう!」たろうが目を輝かせて応じた。「市外のイベントにも出てみたいね。」
「でも、そのためにはもっと練習しないとね。」さくらが真剣な面持ちで言った。「特に、それぞれの歌の感情表現を深めることが大切だと思う。」
かずみ先生はその意見に賛同し、「感情表現のワークショップを開くのはどうかしら?」と提案した。メンバー全員がこのアイデアに興奮し、早速計画を立て始めた。
ワークショップは小さなレンタルスタジオで行われた。かずみ先生が知り合いのボイストレーナーを招いて、感情を込めて歌う方法についての特訓を受けることになった。
ひなたは最初、自分の内なる感情を表現するのに苦労した。彼は自分の過去の経験、特に以前感じた孤独や不安を歌にのせることにチャレンジした。トレーナーの指導のもと、彼は少しずつ心の奥底にある感情を声に変える方法を学んでいった。
「大切なのは、自分の真実を歌に込めることだよ。」トレーナーがアドバイスをした。
練習を重ねる中で、ひなたは自分の感情と向き合う勇気を持つようになり、その成果は徐々に歌声に現れ始めた。ある日の練習で、彼が歌ったバラードはメンバーたちを深く感動させた。
「ひなた、今日の歌は本当に心に響いたよ。」あすかが言った。
「ありがとう、あすか。自分でも新しい一面が見えた気がする。」ひなたは感謝の言葉を返した。
このワークショップを経て、ひなたは自己表現の新しい形を見つけ、それが彼の歌をさらに力強いものにしていた。サークルのメンバーもまた、お互いの成長を感じ取りながら、これからのさらなる挑戦に向けて意欲を新たにした。
冬の寒さが深まる中、ひなたたちの心は歌によって温められ、彼らの絆はより一層強くなっていった。
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