第14話 雪のメロディ

冬が深まり、赤穂市には静かに雪が降り始めた。ひなたとカラオケサークルのメンバーたちは、この季節の変化を新たなインスピレーションの源として受け入れていた。


「この雪、なんだか特別な感じがするね。」ひなたがある日、学校の窓から降りしきる雪を眺めながら言った。


「そうだね、この雪景色を歌にできたら素敵だろうね。」さくらが提案した。


その言葉を聞いたあすかは、即座に「雪をテーマにしたカラオケイベントをしよう!」と提案した。そのアイデアにメンバーたちは興奮し、計画を立て始めた。


たろうは、「雪の日にぴったりなバラード曲を集めよう。」と提案し、かずみ先生はそのイベントを地域の小さな劇場で開催することを手配した。


イベントの準備の間、ひなたは自分で雪の曲を書くことに挑戦した。彼は冬の寒さや雪がもたらす静けさ、そしてそれが人々の心に与える影響について考えを巡らせ、その感情をメロディに変えていった。


「みんな、聞いてほしい曲ができたんだ。」ひなたがリハーサルの日に緊張しながらメンバーに言った。


彼がピアノの伴奏に合わせて歌い始めると、その曲はゆっくりとしたテンポで、雪が静かに降り積もる様子を美しく表現していた。歌詞は、冬の寂しさとその中で見つける小さな希望に焦点を当てていた。


ひなたの歌を聞いたメンバーたちは、その感動的な歌声に心を打たれた。


「ひなた、これは本当に素晴らしいよ。」たろうが感心して言った。


「この曲、イベントの最後に歌おう。」かずみ先生が提案した。


イベントの日、劇場は地元の人々でいっぱいになった。ひなたたちが雪にちなんだ様々な曲を歌う中、外はさらに雪が降り積もっていった。イベントの締めくくりに、ひなたが自作の曲を歌ったとき、その感動は観客に深く伝わり、会場には温かい拍手が響いた。


「雪がこの曲に合っているね。」ひなたがステージから降りた後、あすかが言った。


「うん、本当に忘れられない一日になった。」ひなたは心からの満足感を感じながら答えた。


その夜、ひなたたちは雪の中で小さな打ち上げを行い、これからも一緒に歌を通じて多くの人々に感動を与えていくことを誓い合った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る