第11話  想いは星空に届け

文化祭の興奮がまだ残る中、赤穂市は季節の変わり目を迎えていた。秋が深まり、夜空はより一層澄み渡り、星が輝き始めていた。ひなたとカラオケサークルのメンバーたちは、大会の成功を祝うため、近くの海岸で夜のピクニックを計画した。


「みんな、今夜は星を見ながら歌おう!」たろうが提案した。彼の提案に、みんなが賛成の声を上げた。


海岸に到着すると、一行はバーベキューセットを広げ、焼き鳥や野菜を焼き始めた。ひなたは火を見つめながら、文化祭での自分のパフォーマンスを思い返していた。舞台上での緊張とそれを乗り越えた達成感が、彼の心に新たな自信をもたらしていた。


「ひなたくん、お疲れ様。文化祭、本当によかったよ。」あすかが隣に座り、優しく言った。


「ありがとう、あすか。あんなにたくさんの人の前で歌ったのは初めてだったから、不安だったけど、みんなのおかげでできたよ。」ひなたは感謝の気持ちを表した。


食事の後、たろうが持参したポータブルカラオケ機器をセットアップし、星空の下、海の音を背景にして歌い始めた。ひなたは、自然の中で歌うことの開放感に心を動かされた。


「さあ、ひなたくんも!」さくらがマイクを手渡した。


ひなたは立ち上がり、星空を見上げながら、彼が特に感じ入る曲を選んだ。歌い始めると、彼の声は穏やかな夜の海風に乗って遠くまで響いた。メンバーたちは静かに聞き入り、その場の雰囲気は神聖なものに変わった。


歌が終わると、星空の静けさが戻り、ひなたの歌に対する拍手が響いた。


「素晴らしいよ、ひなた。星にも届いたんじゃないかな。」かずみ先生が笑顔で言った。


「本当に心に響く歌だったよ。」たろうも感動して言った。


その夜、ひなたは星空の下で、友情や歌の絆がいかに大切かを再認識した。彼らの歌声は、ただの音楽以上のものとなり、互いの心を深く結びつけていた。


星空のピクニックは終わりを告げ、メンバーたちは帰路についた。ひなたは家に帰りながら、空に輝く星を見上げて、これからもこの素晴らしい仲間たちと共に歌い続けることを心に誓った。

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