第8話 塩ラーメンの夜
赤穂市の夏は、日が暮れても熱気が残る。カラオケサークルの活動を終えたひなたたちは、少し遅くなった夕暮れの街を歩いていた。夕焼けが海に映り込み、街並みを鮮やかに染めていた。
「今日は、どこかで食事しようか?」さくらが提案した。
「いいね。お腹が空いたよ。」たろうが賛成した。
「じゃあ、どこにしようか?」あすかが尋ねると、かずみ先生が「塩ラーメンのおいしい店があるわよ」と答えた。
その言葉に、ひなたはふと興味を抱いた。塩ラーメンのさっぱりとした味が、今の気分にぴったりだと思ったからだ。
「そこにしよう!」ひなたは思わず言った。
みんなで向かったのは、小さなラーメン屋「潮の味」。赤穂市の中でも隠れた名店と呼ばれるこの店は、地元の海塩を使った塩ラーメンが評判だった。
「いらっしゃいませ!」店の主人がにこやかに迎えてくれた。
ひなたたちは席に座り、それぞれ塩ラーメンを注文した。店内は素朴で心地よく、厨房からはラーメンのいい香りが漂ってきた。
「この店、落ち着くね。」ひなたは周りを見渡しながら言った。
「そうでしょ?ここ、父がよく連れてきてくれたの。」かずみ先生が微笑んだ。
ほどなくして、塩ラーメンが運ばれてきた。透明なスープに浮かぶネギや海苔、そしてしっかりとしたチャーシューが目を引く。
「おいしそう!」あすかが声を上げた。
ひなたはスープを一口飲んだ。その塩味はさっぱりとしていながら、深い旨味が広がり、まさに潮風のような爽やかさを感じさせた。
「これ、すごくおいしいね!」ひなたは感激して言った。
「でしょ?ここの塩ラーメンは絶品なの。」かずみ先生が誇らしげに答えた。
みんなでラーメンを楽しみながら、楽しい会話が続いた。ひなたは、その夜の心地よさと、仲間たちとの時間を大切に感じていた。
「今日は、素敵な一日だったね。」さくらが言った。
「うん、また来たいな。」ひなたは笑顔で答えた。
潮風が吹く街の夜、ひなたは心から満たされた気持ちで、仲間たちと共に過ごした時間を振り返りながら、帰路についた。
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