第6話 潮風のリズム

ひなたがカラオケサークルに参加し始めてから数週間が経った。彼は、仲間たちと一緒に歌い、笑い、共に時間を過ごすことが日常の一部となっていた。潮風が吹く街の温かい雰囲気の中で、ひなたの心は少しずつ解けていった。


その日、サークルのメンバーは久しぶりに学校のサークルルームで集まることになっていた。あすかが新しく見つけた曲があるということで、みんなで一緒に聴いてみることになっていた。


「みんな、この曲を聴いてみて!」あすかはスマートフォンから曲を流し、みんなで耳を傾けた。


曲は軽快で、まるで潮風に乗って漂うようなリズムだった。ひなたは自然と笑顔になり、体がリズムに合わせて揺れ始めた。


「これ、すごくいいね。」ひなたが感想を述べると、他のメンバーも頷いた。


「そうだね、なんだか元気が出てくる。」たろうが笑顔で言った。


「今日は、この曲をみんなで歌ってみよう!」さくらが提案した。


ひなたたちは順番にマイクを回し、みんなで楽しく歌った。サークルルームに響く歌声は、彼らの心をひとつにしていた。ひなたは、歌うことの楽しさと、仲間たちと共にいることの喜びを改めて感じていた。


その後、顧問のかずみ先生が部屋に入ってきた。彼女は、地元のカラオケ店の店主の娘で、カラオケ機器に詳しかった。


「みんな、今日は新しいカラオケ機器の調整を手伝うよ。」かずみ先生が言った。


「やった、新しい機器だ!」たろうが興奮して言った。


ひなたも興味津々で、新しい機器を見つめていた。かずみ先生は、機器の設定を丁寧に教えてくれた。ひなたは、先生の知識に感心しながらも、機器の操作に挑戦してみた。


「ひなたくん、上手だね。」かずみ先生が褒めてくれた。


「ありがとうございます。」ひなたは照れながらも、嬉しそうに答えた。


その日の活動を終えて、ひなたはサークルのメンバーたちと一緒に帰路についた。彼の心には、新しい友情と成長への希望が満ちていた。潮風の吹く街で、ひなたの青春のリズムが刻まれ始めていた。

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