亥の章3 最強魔法少女タトーの狩りの時間

 夕日が沈む空の下。

 オーク娘を倒す前に水浴びをした滝壺の近く。

 そこに戻ったタトーは、四ツ腕猪頭のを岩に置いた。

 ボタンにのよると、全裸の状態で十二器を胸に近づけると吸収されるらしい。

「やってみましょう! 」

 タトーは、四ツ腕猪頭を両手で持って胸に近づけた。

 すると、四ツ腕猪頭はぐにゃぐにゃと変形。

 そして、タトーの胸の中に吸収された。

 しかし、吸収されたこと以外何も起こらない。

「ふぅぅぅぅぅぅ…………うん…………」

 タトーは、なぜ何も起こらないかを考えた。

『ひょうっしたら、今は全裸だから何も起こらないのかもしれない』と。

「よし! 」

 タトーは、十二器のことを置いといて夕飯の食材を探しに行った。

 

 水浴びをした滝壺の向こうにある滝の上。

 タトーは、両脚を水に浸けたまま、じっと立っていた。

 ザバザバと打ちつける水の中。

『やつは来ないか』と、辛抱強く待っている。

 五分、十分、十五分、二十分…………。

「来たっ! 」

 突然、八匹の魚がびゅっと飛び跳ねた。

「どりゃぁ! 」

 手をでひっかくように、八匹全てを指の間で捕獲。

「鮎、八匹ゲット! 」

 そして、、左腕を大きく後ろに振った。

「亜空間屋敷! 」

 タトーは、とった鮎と一緒に黒い扉の中へ入った。


 亜空間屋敷の中。

 囲炉裏がある部屋の中で、タトーが三毛猫のパーカーに黒い軍服の姿で正座をしていた。

 タトーは元々、ヒュウラン国の軍のリーダーである。

 黒い軍服は、ヒュウラン国にいた頃の名残だ。

 それはさておき、タトーは囲炉裏を使って串に刺さった鮎を八本焼いていた。

 メラメラと燃える炎の上では、黒い茶釜のお湯も夕食に必要なものである。

 足下にある瓶の粉もそうだ。

「もうそろそろね」

 すると、焼いた鮎の香りプウンと部屋中に広がった。

 そして、鮎の表面からテカテカとした油が滴り落ちている。

「どれどれ…………」

 タトーは、鮎の皮を軽く指でつついている。

 油は確かに透明。

 火が通っている証である。

「では、準備しましょう! 」

 タトーは、囲炉裏で沸かした茶釜のお湯を、金属のコップに注ぐ。

 その後、瓶の粉を入れてブラックコーヒーを作った。

 これで、夕食が完成。

 両手を合わせて頭を下げた。

「いただきます! むぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐほっふっほっふっほっふっほっふっむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐむぐ……」

 タトーは、鮎の塩焼きにかぶりついた。

 バトルで朝食と昼食を抜いた彼女にとって、これが今日はじめてのご飯である。

 しばらして、タトーは鮎の塩焼き八本全て食べ終える。

「ゴグゴクゴグゴクゴグゴクゴグゴクゴグゴクゴグゴクゴグゴクゴグゴクゴグゴクゴグ……ごちそうさま! 」

 ブラックコーヒーを飲み終えた後、タトーは囲炉裏の火を消した。


 となりにある畳の部屋。

 そこでタトーは、八角形の模様のパジャマの着替えていた。

「うーん…………とにかく、寝よう! 」

 十二器ののことが気になったタトー。

 しかし、彼女は『いずれ、あたしの新しい力がわかるだろう』と気にするのをやめた。

 そして、タトーは、三毛猫柄の布団の中に入って寝る。

 

 

 

 

 


 

 


 

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る