乾編
亥
亥の章1 最強魔法少女タトーと新人冒険パーティー
ビガ国を出てから翌日の朝。
タトーは、森の奥にある滝で全裸で水浴びをしていた。
どっどと落ちる滝の下。
冷たく気持ちいい水が、タトーの美しい褐色肌をより色っぽくしていく。
「ふうぅぅぅぅぅ! 水浴び、気持ちいいわね。それより、亥のオークを探さなきゃ」
タトーは、滝壺から出て大きな岩へ移動した。
今の彼女は、地図もコンパスも持っていない。
それに、『亜空間屋敷』という魔法では、知らない場所にはいけない。
なので、やって来る誰か聞いて場所を探さないといけないのだ。
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ! 」
「すごく、セクシーな姉ちゃんだなぁ! 」
「相手は、全裸だ楽勝だろ! 」
「ああ!! 」
「ううん? 」
タトーは、後ろ向いた。
そこには、人間の少年が三人いる。
右が、丸刈りの斧使い。
真ん中が、金のショートヘアーの弓矢使い。
左が、青いポニーテールの剣士である。
「ねぇ、そこのあんたら達! 」
「ううん? 」
「魔法少女を倒せると思っているでしょう? 」
「あんた、魔法少女なのか? 」
「うん! 」
「だったら楽勝だ! 」
「オレ達と戦ってくれ! 」
「うん! 」
タトーは、大きな岩からジャンプして降りた。
そして、タトーと冒険パーティーの少年達のバトルが始まる。
最初に動いたのは、弓矢使い。
弦を矢尻と一緒に掴む。
そして、タトーに目がけて矢を飛ばした。
「ふっ! 」
「ぐわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
矢は、見事命中。
しかし、タトーには所までには届かなかった。
命中したのは、斧使いの背中である。
「うぅぅぅぅぅぅぅ…………」
斧使いは、左胸からドボトボと赤い血を流しながら砂利の上に倒れている。
「うん、初心者ね」
「くっそおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」
強いタトーにムカついた弓矢使いは、さやに入った矢を全て握り締め。
弓を使わずに投げ飛ばした。
「どりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」
「うわっ! 」
「やったか? 」
タトーは後ろへ下がったが、何とか命中。
しかし、刺されたはずの彼女は傷一つ無い美しい褐色肌のままだった。
「さやの矢を全て投げるなんていい作戦ね! もう、降参かしら? 」
「今度は、オレが相手だ! 」
最後に剣士がタトーに剣士を向けた。
腕ほどの長さの両刃剣。
その剣を持ったまま、剣士は大ジャンプ。
そして、タトーに斬りかかった。
「おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! 」
「ふふん! 」
しかし、タトーは余裕の表情を剣士に見せる。
「時空蕎麦! 」
すると、タトーの姿が消えた。
そして、0.2秒後にタトーが剣士の右脇腹に蹴りを入れる。
「ぐほおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ……」
剣士は、口から大量の血を吐き出して砂利の上に倒れ込んだ。
「う…………うう…………何だよ、あの魔法少女…………怖えよ…………」
「今度ことそ、降参かしら? 」
「あ…………ああ…………」
「じゃあ、亥のオークの場所を教えて! 」
「うう…………」
弓矢使いは、タトーからオークの場所を聞かれた。
しかし、冒険を初めてからオークには一度も会っていない。
「うん…………亥のオークなら、牡丹の木の向かい洞窟にいる。滝の周辺を探せば見つかるはずだ」
「そうなのね。じゃあ、探していくわ! 」
タトーは、滝の反対方向の森へ走って行った。
「…………たく…………牡丹の木の向かいの洞窟なんてあるわけ無いだろう。嘘だと知らずになぁ」
弓矢使いは、再び新しい仲間を集めに滝から離れて行った。
しかし、彼がついた嘘が本当になることを本人は知らない。
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