第47話 ルルシュア=ナフィリーゼ・ブラックローズ

「それで主は今からどこに行くのじゃ?」


「とりあえずは仲間のいる拠点に戻る。その後はメンバーが集まり次第竜討伐でもしようと考えてる」


「ほぉ、龍を殺すとな。どの程度の龍と戦うかは知らぬが龍とは長命種じゃぞ。生きた年月によってその力は変わると言われておる。ちなみにどんな龍なんじゃ?妾でも知っておるやつかのぉ」


「俺たちは天空竜と呼んでいる蛇みたいなやつだ。よく言うトカゲに羽が生えたようなやつじゃなくて蛇みたいにうなうな空を飛ぶやつだ。青っぽい緑色の鱗をしててかなり大きいな」


 吸血鬼は少し考える素振りをすると思い出したのか手を軽くポンと叩く。


「そいつは天神竜ベルダウェイじゃな。最古の龍の一体でその特徴は主がいったような蛇のような体じゃ。天候を操り、嵐を引き起こす能力を持つと言われておる。雷や嵐が起こった際は天神竜ベルダウェイの怒りとも言われておる。妾のいた世界ではよく人間からの信仰を受けておったわ」


「そういえばお前といいモンスターといいいったいどこから来たんだ?」


「わからぬ。妾はいつのまにかここにいた故に。本来妾がいた場所は日の光すら当たらないような暗闇が広がるダークヘイヴという場所におった。だというのに気づいたときにはこのようなよくわからぬ場所に飛ばされておったは。そもそもここはどこかと妾が聞きたい方じゃ。おそらく妾のいた世界とは違う世界だと思うが」


 吸血鬼はまたしても唇に指を当て考える素振りをする。


「主はこの世界の人間なのか?」


「一応な」


「ふむ、この世界の人間のレベルは皆主ほど強いのか?だとしたら相当恐ろしい場所にきたことになるのじゃが」


「いや、俺ぐらい強いやつは多分この国でもあと六人くらいしかいないと思うぞ」


「それは一安心じゃな。して主の名はなんというのじゃ?」


「そういえば互いに名前も知らなかったな。俺は七瀬薫だ。お前はなんていうんだ?」


「変わった名前の響きじゃのぉ。ななせが名前なのか?」


「薫が名前だ。七瀬は家名の方だな」


「なるほどのぉ。その辺りも妾のいた世界とは違うようじゃ」


 薫はそれは日本が特別なだけだぞと言おうと思ったがめんどくさかったので訂正しないことにした。


「して、妾の名はルルシュア=ナフィリーゼ・ブラックローズ。現ブラックローズ家の当主にして高価なる吸血鬼の一人じゃ」


「それどこまでが名前なんだ?もしかしてそのルルシュアなんとかかんとかまでが名前なのか?」


「そうじゃ。長いゆえルルシュと呼ぶがよいぞ」

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