第十八話

停学が解けて初登校。


教室に入ると談笑の声が止み、周りの視線がこちらに集中した。


「おはよう、次郎」


だがマリは話しかけてくれた。


「いま、次郎って言ったよな?」「言ってた。言ってた」「じゃあ、あの二人ってそういう関係?」


モブどもが騒ぎ出した。


「おい、マリ俺達はどうやら人気者らしいぞ」




「それは困るな」


「何でだ」


「君が人気者になると周りの女共が寄ってくるだろ」


可愛い事を言う。


「今、阿部も三咲の事を下の名前で呼んだよな」「間違いなく」


またモブどもが騒ぎ出す。


「おはようございます。阿部さん」



二見が挨拶してきたので俺も返した。


「停学解けてよかったですね」

「ああ、これでようやく面倒くさい学校生活を送れる」



「ふふっ、楽しい学校生活を送れますね」


二見と違和感なく会話ができている。


「そうだな。私の様な面倒くさい女といると面倒くさい学校生活を送ることになる

だろうな」


マリが拗ねた様に言い出した。


「三咲さんどうしたんだ」「妬いてるんだよ。彼氏他の女と会話してるから」「なるほ

ど~」


モブどもが解説をしてくれた。


「別にそういう意味じゃない。楽しい学校生活を送れるって意味だよ。二見も言って

たろ」


「どうだか」


まだへそを曲げている。



俺はマリの手を握り


「お前とのこれからの日常が楽しみだよ」


これは効果あったらしく


「まあ、そういうことならいいだろ」


と、機嫌を戻してくれた。


後、一花の方をちらっと見たが別段取り立てて何か変わったことはなかった。


ただ以前より少し大人しくなったことくらいか。


その後は授業を普通に行い、昼休みになった。


「なあ次郎。弁当を作ってきたんだ。一緒に食べないか?」


「わざわざ作ってくれたのか」



「いつもコンビニ飯では栄養が偏るだろう」


ということで俺達は屋上で昼飯を食べることにした。



「ほらこれだ」


弁当を渡され中身を開ける。


「おお~これはおいしそうだな!!」


中身は唐揚げ、卵焼き、春巻きなど定番のものだが、少し形が崩れている。


だが、それが手料理感があり、また頑張ってくれたんだろうと思うと嬉しくある。


「じゃあ頂きます」


俺は唐揚げを口に運ぶ。


「ど、どうだ?」


マリが不安そうに見る。



「う、う…」


「う?」


「旨い、普通に旨いぞ!マリお前はいい嫁さんになれるぞ」


「よ、嫁だと!?それはまだきが早いというかなんと言うか…」


マリが一人で何か言ってたが俺はこのジューシーな弁当を食べるのに必死だった。


そしてあっという間に平らげた。





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