第十六話
「それで、一花さんを。まさかそんな事をする方だとは思いませんでした。」
二見に例の件について聞かれたのでことのあらましを語った。
「でも、何で三咲さんの為にそこまでするのですか?」
「三咲の笑ってる顔が見てみたいからだ。あいついつも仏塔面だろ?」
「フフッ、そうですね」
俺達は公園のブランコに乗りながら会話をしている。
その前ではコハルちゃんが素振りをしている。
「でも三咲さんは羨しいです。こんな風に真剣に思ってくれる方が近くにいて」
「橘は違うのか?」
エロゲーでは初期の段階から主人王に惚れていた。
理由は、平たく言うと橘の方から惚れていて、その気持ちに彼女の方も気付いてと
いう感じだ。
「一花さんや四ツ葉さんが良く勘違いされてますが、私は別に彼に想いを抱いてい
ません」
「えっ!!そうなの!?」
あれ?意外だ。まさか、二見が橘に惚れていないんだなんて。
「阿部さんは、その…三咲さんの事…」
二見が言い詰まってる。
大体、何がいいたのかは分かる。
「ああ、好きだよ。昨日告白した」
「そっ、そうですか。そうですよね。そうでもないと、わざわざあんな事しませんよ
ね」
二見はどことなく悲しそうな表情をしていた。
「二見は剣道をしているのか?」
「ええ、幼少期の頃からたしなんでました。」
そういえば、そういう設定だったな。
「聞いた話なんだけど、確か全国大会とか出たんだっけ?」
「はい。あっそうだ。阿部さん良かったら、剣道部に入部しませんか?」
「剣道部に?」
「はい、妹に聞いた話だと中々の腕っ節らしいじゃないですか」
「いや、いいよ。俺一人暮らしだから学費とか生活費稼ぐためにバイトしないといけ
ないし」
「そ、そうですか。それは残念です」
また二見はしょんぼりとした。
やれやれこの世界の住人はメンタルに問題があるようだ。
「お姉ちゃ~ん!!そろそろ帰ろよ~!!」
コハルちゃんがいつの間にか素振りを終えていた。
「じゃあ、私はこれで」
「ああ、また学校でな」
「はい!阿部さんに会えること楽しみにしてますね!」
そう言って、二人の姉妹は帰って行った。
今日で二見と結構距離を詰められていた。
翌日、川辺を散歩していた。
「よっ!DV男!こんな所で一人で何してんだよ」
今度は四ツ葉と出会った。
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