第十四話
「デートをしよう」
俺は切り出した。
「デートをしよう」
「二回も言うな」
「口ではぶっきらぼうに言いながらも嬉しそうな表情を隠せないマリだった」
「ナレーションするな」
デートというのは初めての経験だ。
上手くできるかどうか。
「そういえば橘のことだが」
今度はマリが切り出した。
「食事の件は断った。彼は結構面食らっていたが」
「そうか」
「そうだ」
この話題はこれで終わった。
「デートはしたことあるのか?」
マリに聞いてみた。
「気になるか?」
マリは含み笑いをする。
「私は結構モテるからな。デートの誘いは何回も受けている」
「ダウト」
「は?」
「お前みたいな不愛想の女子を誘える男がいるとは思えない」
「どうやら私を甘くみているみたいだな」
普段の学校生活みてたら、そう思うしかない。
かなりツッケンした態度をしている。
「じゃあ、俺がデートを誘ってみる勇敢な男子を演じるからどういう反応するか見せ
てくれ」
「お安い御用だ」
ということで俺はマリをデートに誘う日本男児を演じることになった。
「み、三咲さん今度ぼ、僕とデートに着き合ってください」
「今度っていつ?日にちは?時間は?というかお前は誰だ」
「……お前、そんな暴言吐いたことあるのか?」
「暴言というほどではない。私は気になったことを質問しただけだ」
これは、結構な問題だぞ。性格の。
今度は反対に活発な性格な男子を演じる。
「三咲さん!俺と…」
「うるさい。不細工な声と顔を私に近づけるな」
「……」
あくまでこの演じてる男子のことだよな?俺の事じゃないよな?
「勿論、演じてる男子に言ったことだ」
「分かってる。でも言葉が強いな」
なら今度は紳士な男性だ。
「麗しい、三咲さん良ければ私と食事に行きませんか」
「薄っぺらい。それがお前の第一印象だ。もっと人としての厚みをつけろ」
こいつ、社会に出れるのか。素直に気になる。
今度は俺だ。後ろからマリを抱き寄せた。
「マリ、今度俺とデートしよう」
「ああ、楽しみにしてるよ。次郎」
マリは笑顔を見せる。
俺は顔を近づけ今日初めてのキスをした。
昨日より楽しめる余裕ができた。
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