第十一話
「この世界のエロゲーも面白いな」
一人でゲームをしている。
この世界のエロゲーを堪能している。
もう10本はやっている。
これだけの時間があるのは俺が学校に行ってない、というより行けないからだ。
俺は一週間の停学処分になった。
処分を受けて今は三日目を突入した。
ピンポーン
インタンホーンの音が鳴り、ドアを開ける。
「おっ、三咲か」
三咲がいた。言葉が詰まる。色々聴きたいことがある。
「今、いいか?話したいことがある」
珍しく三咲が語り掛けた。
「ああ、いいぞ。大した部屋ではないが」
女の子を部屋に入れるなんて初めてなので緊張している。
「何か飲むか?」
「いや、気を使わなくていい」
「お前、気を使われるの苦手そうだもんな」
「帰るぞ」
「冗談だよ」
軽口をたたきお茶を提供し、俺は三咲と向かい合った。
「それで、何で…」
「ちょっと待て」
俺の言葉を三咲が制止した。
「どうした?」
「と、隣に…」
「?」
「隣に座れ!!」
「へ?」
思いがけない言葉に俺は素っ頓狂な言葉が出る。
「…ああ、分かったよ」
俺は三咲の隣に座った。
(いい匂いだなぁ)
心が洗われる、そんな匂いだ。
「ありがとう。私の為にこんな事をしてくれて」
三咲から感謝の言葉を伝えられ俺は驚く。
「半分は俺の為だ」
ちょっとカッコつける。
「ふっ、そうか」
馬鹿にした笑いではなくどこか慈しみのある微笑みを彼女はした。
「あれからどうなんだ学校は?」
「まず、一花の事だが教師達と話し合いが行われてな。私の靴を隠したという証拠は
ないため特にお咎めなしになったそうだ」
「でも靴は噴水にあったんだろう?」
「ああ」
これだから教職ってやつが嫌いなんだ。
「でも浮本先生からは結構厳しい言葉を投げられたらしい」
「そうか。クラスの連中は?」
「あまり変化はない」
「人気者は強いな」
俺と三咲はお茶を飲む。
「良くここが分かったな」
「浮本先生に聴いたんだ。お礼がしたいから住所を教えてほしいって」
ああ、住所か。なるほどね。
「正直、一花の事はどうでもいいんだ。こんなイジメは一度や二度ではない」
親の事、三咲自身への嫉妬などがあって、苦労してきたんだろう。
「なあ、阿部。何でお前は私の為にここまでしてくれるんだ」
俺は変に誤魔化さずストレートに言うことにした。
「お前の事が好きだからだよ」
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