第十話

「女を殴るという事は下劣な事だ!!分かってるのか!!


今、授業の時に居た体育の先生、校長、学年の主任、担任の浮本先生に囲まれて事

情聴衆を受けている。


「一花は三咲の体育靴を噴水に投げ捨てた。だからお仕置きしたんだ」


「君、だからと言って女の子を殴っていいわけじゃないぞ」


でっぷりとした校長と呼ばれる者が話しかける。


「大体、靴を捨てた証拠は一花だという証拠はないんだ!!」


さっきから体育に担当教師がうるそうに怒鳴りつける。



「あいつは噴水に捨てた、と自白した。あんたも聞いただろ」


「そ、それは…あいつがただ憶測で思わず言っただけだろ」


(話にならない)

さっきからこの教師陣は一花を庇う様な事を言う。



一花の容姿とその活気な性格はクラスと学年のやつらだけではなく教師達からも人気がある。


対して三咲は生徒だけではなく教師からも距離を置かれている。



だから扱いに差が出るのだろう。


「最悪退学も覚悟してくれ」


ほっそりとした学年主任がぼそっと言った。


「待ってください。阿部君の一花さんに対する行為は確かに問題ですが、退学処分は

重すぎます。それにこの場合一花さんにも話を聴かなければいけません」


浮本先生が異を唱える。


どうやら彼女は中立な立場らしい。


「だがね、三咲さんも大分問題児らしいじゃないか」


学年主任が聞き捨てならないこと発言した。


「つまり、問題児なら何さても問題ないわけだな?」


俺は懸命に怒り抑えながらこいつに質問する。


「そうは言ってない」


ヘラヘラと学年主任が答える。


その時、扉を開いた。


そこには三咲がいた。


「三咲さんあなたどうしてここに?」


「校長先生ちょっとよろしいでしょうか」


浮本先生の問いうぃスルーした。


「何だね?」


校長が怪訝な表情を浮かべる。


「母から校長先生にお話があると」


「桃さんから?」


校長が席を立つ。


「少し席を離す」


校長が部屋から出た。


三咲桃。世界でも名が売れている天才ピアニストだ。


一体この学校とどういう関係があるのだろうか。


俺達は一言も話さず黙った。


10分程経った頃、校長が姿を見せた。


「阿部君、君の処遇は明日言い渡す。明日校長室へ来なさい」


「校長先生さっきどんな話を?」


学年主任が質問を投げる。


「君には関係のない事だ」



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