第七話

「最近、面白いテレビやってないよな~」


「…」


「やっぱ時代はYOUTUBEだな。何か見てる動画ある?」


「……」


昨日、三咲に話しかけないと約束したが俺は早速破った。


俺が話しかけてもすました表情で三咲は無視している。


クラスの連中は全員こちらを見ていた。


「おはよう、三咲」


「…おはよう、橘」


橘が三咲に挨拶をし、俺とは違って彼女は反応をした。


「なあ、阿部」


「ん?」


橘が俺に言葉をかける。


「三咲は少し嫌がってるようにも見えるから、話しかけるにしても少し控えた方がい

いんじゃないか?」


「そんなことはない。彼女は嫌がってなんか…」


「ものすごく不愉快に感じている」


三咲がぴしゃりと言った。


「大体、昨日私は話しかけるなと言った筈だ」


「三咲、何かあったのか?」


橘が野次馬根性を出してきた。


「まあ、とにかく約束を破ったんだ。昨日の事を報告させてもらう」


そう言うと三咲は席を立った。


「おいおい、ちょっと待て!」


ここで退学にでもなったら何のためにこの世界に来たのか分からない。


俺は急いで後を追った。


「おい!ちょっと待て!」


「……」


しょうがない。あれを使うか。


「なあ、三咲。そろそろ橘に告白したらどうだ?」


「は、はあ!!?」


意外と分かりやすい奴だ。


「わ、私は別に…」


「そうやって誤魔化すと他の奴らに取られるぞ」


「!」


「じゃあ、食事に誘ってみたらどうだ?」


「…私なんかと一緒に行ってくれるとは思わない」



いまいち自己評価が低い。これがバッドエンドを辿ってしまう要因だ。


「大丈夫だ。自信持てよ。お前は魅力的な女性だぜ」


「!!」


「ほら、早く誘ってみろよ」


そう言うと、三咲は教室へ戻った。


その後、彼女は橘を食事に誘うことに成功させた。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る