第五話
「な、な、何をする!!」
三咲がさっきまでの仏頂面と打って変わって戸惑いの表情を見せ、蹴りを放つ。
が、俺はあっさりと止めた。
「ははははは!残念だったな。お前のケリは俺には届かんぞ!なんせ俺は通信空手
を取得しているからな!」
「このことを教師に言いつける!そしてお前をこの学校から追い出してやる!!」
「もしそんな事をすれば学校中で三咲の下着が青色だと言いふらす!!」
「この下種め!!」
三咲が軽蔑した目と悔しそうな表情をしている。
(その表情そそるな~)
俺は何とも言えない感情に支配されていた。
「まあいい。といらえずこの学校の案内をしてくれ」
「断る!何が『まあいいだ』。私は全然良くない!」
「おれの言う通りにしてくれればお前の下着が青色だという事は、墓場までもってい
く」
「人の下着を黒歴史扱いするな!!他に女子生徒だって同じようなものだろ!」
三咲はゲーム内でも滅多に出さない声量を張り上げる。
「分かったよ、じゃあ学校の案内をしてくれ」
「どれだけ学校の事が知りたいんだ。勝手に一人で彷徨ってろ」
「一人で勝手に下着の色を言いながら彷徨ってろ?分かった」
「何もわかってない!」
こいつ面白いなぁ。
「なら条件だ」
三咲が条件を出してきた。
勿論そんなモノ守る気はないが、聞いといてやろう。
「何だ?」
「学校の案内をしてやる。そのかわり、二度と私に話しかけるな!」
「分かった」
やはり守れそうにないな。
ということで三咲に学校の案内をしてもらうことにした。
▼
一学年の階、二学年、三学年の階、職員室、体育館、保健室など教えてもらった。
「この学校って意外と広いよな」
「……」
無視された。
「授業、すっぽかして案内してけど大丈夫か?」
「私はこんなことしょっちゅうだし、何よりお前が案内しろと催促してきたんだろ。
文句言うな」
「いや、心配してるなは三咲じゃなくて俺の事」
「知るか!」
とまあ、こんな掛け合いをしながら音楽室へ着いた。
「ここが音楽室だ」
「俺とお前が初めて出会った場所か」
「キモイ」
キモイと言われた。ショックだ。
「よくここにいるのか?」
「まあな」
「先生達に怒られないのか?」
「呆れて何も言われないよ」
実際そうなのだろう。教師共に何言われても気にするメンタルの持ち主ではない。
「案内はこれで十分だろう。約束通り私に今後一切話しかけるな」
そう言って三咲は去って行った。
ちなみにその後、俺は授業をすっぽかした事で浮本先生に怒られた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます