第二話

翌日、光一高校へ登校した。


(確かクラスは2―1だったはず)


そこで俺はエロゲーでプレイしてたキャラたちに出会えるわけか。


(すごく緊張するし、なんか興奮する)


そして、教室の扉の前に立つ。


扉の向こうには生徒たちの声が聞こえる。


早鐘を打つ心臓を抑え、扉を開ける。


教室に入ると声が止み、視線が俺に向けられた。


(もしかして、教室はここじゃないのか!?)


周りの反応が『誰この人?』の状態だ。


「ねえ、君もしかして転入性?」


(!!こいつは一花 アリサ)


彼女はメインヒロインの一人だ。


快活な性格と誰もが振り向く容姿からこの学校一の人気を誇る。


(か、かわいい。アイドルも顔負けだろ。橘の奴こんないい女とヤリまくってたの

か)


セミロングの茶髪で顔はとても小さく目がクリッとしてて大きい。


短いスカートから健康的な美脚がいい。




「あ、ああ。今日からこのクラスに転入することになった」


ホントは知らないが、まあいいだろう。


「そう!そういえば浮本先生から新しい転入生が入ってくるって言ってたけどあなた

の事だったのね」


(やっぱり転入生だったか)


とりあえずはほっとした。



「私は一花 アリサ。よろしくね!」


天真爛漫な笑顔だ。


思わず引き込まれそうになる。


「あっ、君は確か。昨日の」


橘ワタルが一花のそばにいた。


「何、ワタル。あなた彼と知り合い?」


「いや、昨日この人からここの場所聞かれたんだ」


主人公とメインヒロインが会話をしている。


何か感動するな。


「ほら、もうそろそろ朝礼の時間よ。早く席に着きなさい」


担任の浮本カヨコ先生が教室に入って来た。


年齢は28歳。とても美人で学生の間でも人気が高い、という設定だ。


実際プレイヤーの間でも人気が高いキャラだ。


同人誌でも多く描かれている。


だが、残念なことに攻略キャラクターではない。


「阿部君。あなた先に教室に居たの?駄目じゃない、事前に伝えたように職員室に

いなきゃ。せっかく君がどんな子なのか楽しみにしてたのに」


(何で教師なんかやってんだろう?女優でも通用するだろう)


それ位の美貌を持っていた。


「すいません。その事忘れてました」


「まあいいわ。はい!皆、注目!」


先生が元気に声掛けをする。


「前にも言った様に今日から新しい転入生がこのクラスの一員に入ることになりました。阿部次郎君よ。今は親元を離れて一人暮らしをしているわ」


「ああ、そういう設定なのね」


「設定?」


しまった。口を滑らした。


「いえ、何でもありません」



とりあえず苦笑いで誤魔化す。


「…じゃあ、阿部君からも自己紹介お願いね!」


「阿部次郎です。夏休み前という中途半端な時期に転入しましたが、休みに入る前に

皆さんと仲良くしたいです。よろしくお願いします」


無難な自己紹介をした。


「阿部君!よろしくね!」


クラスの中心である、一花が率先して歓迎の意を表してくれた。


それにつられてモブキャラ共も拍手で歓迎してくれた。


だが、俺はそんなのはどうでもよかった。


三咲マリがいない。


このクラスで間違いないはずだ。



(という事はあそこか…)



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